旅館業法と民宿

 旅館業法には、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営巣にあたるわけで、所定の手数料を納めて,都道府県知事の許可を受けなければならないとしています。従って前述のように、長野県白馬村と真田町の登録の年度比較をするに、真田町が一年早かったことがわかります。
 しかし、この法律では、なんら民宿ということばの定義がなされているわけではありません。ただ、ここで付言しておかなければならないことは,ホテルは洋式、旅館は和式の宿泊施設であり、簡易宿所は多人数共用の宿泊施設で、下宿とは一ヵ月以上の期間を単位とする宿泊施設です。
 民宿の発展してきた歴史との関連から考えられることは、観先客吸引要素に季節変動的な性質が強いため、通年的営業が困難なため、旅館業に発展していない面があり、ましてホテル業として営業を行うことは至難の業です。つまり、民宿の存在する所以は地域性が強く、都心性の少ない点ものようなことがら生まれてくるのです。その結果として、旅行者に対して宿泊提供せざるをえない状況から民宿が発生してきたのであり、格好の施設として蚕室が宿泊施設化したのでしょう。このような条件のもとで、旅館業の補助的な役割にして存在し、地域的ないし、地方的な特色をもって発展したのです。
 ホテル・旅館業が都心性をもっか企業とすると、民宿は、地方的、地域的、分散的な傾向をもった宿泊施設として定義し得ることもできます。従って、企業的な利潤を得ることは、一般的に困難です。また、第一流産業との結びつきの多いのも地域性をもっているからであり、その多くは副業として行われているため生業にはなりえず、企業的性格がうすらいでいる点もみのがすわけにはいきません。

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 ところで、この本題の法的な民宿の定義について、問題視される点は民宿というものが、旅館業法、環境衛生関係法の中で便宜的に処置されていたための欠陥が経営面に悪影響を来たしている。と指摘されていることです。そして、この問題の解決のために具体策として、社団法人日本民宿組合中央会が民宿業界の中核となって、行政的、法的に確たる定義づけ、位置づけをしたのです。この中央会が昭和50年5月31日「民宿資格基準規定」を厚生省に承認を受けています。
 この規定の第1条に民宿の定義をしている。それによると、「民宿とは、山村又は観光地にあって不特定又は多数の旅行者を宿泊させる施設で、次の条件を具備するものをいう。
 (1) 旅館業決によって「旅館営業」又は「簡易宿所営業」のいずれかの許可を得ているものであること。
 (2) 顧客に対して、地場の産物、自家製の料理を主として供与し、家族的雰囲気、ふだん着の接待を行う等郷土色が豊かなものであること。
 (3) 家族労働力が中心になって営業され、最盛期間には収容人員10名につき1名程度の臨時従業員をおくものであること。
 (4) 顧客のセルフサービスを主体にし、宿泊料金(一泊二食付)は料理飲食等消費税の免税点を基準としたものであること。」としています。
 この「民宿」の規定は、前文で「施設」と限定し、条件として、4条件を具備することを規定し、(1)は従来通り行政規定の許可、(2)は飲食の供与で地場の物産利用、(3)は労働力の問題で、家族労働プラス臨時従業員をおく、(4)は顧客にセルフサービスを主体とし、宿泊料金(一泊二食付)で料理飲食等消費税の免税点を基準としていることです。
 ただ、不特定又は多数の旅行者を宿泊させる施設としていながら、施設についてなんらの規定のないのは民宿の3木の柱の1本がないような気がしてなりません。従って、既存の施設設備を利用し、安全にしてかつ清潔でなくてはならない。としたらどうでしょうか。
 これは蛇足であって、このように規定したのは、日本ではじめてのことであり画期的なことです。そして、この民宿の規定によって、民宿経営者自身が資質の向上をはかろうとして規定しています。この点は民宿経営者の自覚と認識によるもので、民宿自体の責任を露呈したものでしょう。それにしても行政的な面から、もっと早期に決規定の不足を補充し指導していくのが本来の姿ではなかったかと思われます。
 そこには、現象が非常に多岐にわたっていて、簡易宿泊業としての実際の内容の明確化がなされなかった点もあります。今後、より一層の民宿研究がなされることによって、現象から本質へ、本質から現象ヘフィードバックして組織を堅実にし安定化していけば、おのずから民宿に顧客を多く誘引しうるのです。
 従って、ここでは民宿の概念として、簡易宿泊業として一歩前進した形で制度論的にとらえたことにとどめます。
 次に、民宿の成立条件によって「民宿」の概念化がなされます。つまり民宿の成立条件を主体にして、民宿自体を客体としてとらえた場合の「民宿」概念です。
 そこで、民宿の成立条件を大別してみると、自然的条件、社会的条件、文化的条件などに分類できるでしょう。たとえば、民宿からのながめのよさとか、珍しい建物やモニュメント、史蹟、社寺、スキー、スケート、登山、ピクニック、釣り、ゴルフなどのためのスポーツ施設、有名な飲食店などの存在、同業者のあつまり具合、大都会からの立地条件、知名度といった条件です。この諸条件を整理していくと、殼も体系的に理論化がなされている「観光理論」から学ばなくてはならないでしょう。

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