民宿の意義と方法

 民宿の意義と方法について検討する場合、まず民宿の概念規定がなされたくてはなりません。そして現象から本質へと展開がされなくては社会科学として成立しえないことは周知の通りです。とくに、価値論まで止揚しようとすると、必ず問題となることは宿泊業の商品諭です。民宿は宿泊業の特性をもっているので商品を生産し販売するといった一般的な商品市場での取引とは違っています。従って、製造業が商品を販売するように有形財を販売する場合と違って、無形の財のサービスによる販売です。このことについて清水教授は「プロダクト特性」として8分類しているます「多機能性、瞬間生産、瞬間消費、非ストック性、非流通性、非伸縮性、シーズン性、農耕型(植物型)、事前評価の不能性」をあげています。この8分類を民宿の商品特性として考えてみましょう。

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 民宿という諸機能がセットした商品であり、顧客の需要に合わせて商品を提供することの困難性があり、顧客自身の来訪により、はじめて商品化し、サービス商品を客に提供する。その一部は、即座に消滅してしまう場合もあり、その商品を他に転売することも不可能であり、しかもその商品は現存する施設・設備により決定せられてしまう数量に限定されてしまいます。そのうえ季節的変動が大きく、販売予測が非常にむずかしい。しかしその土地に定着して、顧客の来訪を待たねばならないし、その商品の購入者である顧客にとっては,宿泊してみてはじめてその評価がわかるという商品特性をもっています。
 ちなみに実際の民宿経営形態を実態調査してみると、必ずしも企業として把握しがたい面もあり、どちらかというと副業としての歴史的形態変化として、長野県白馬村のように把握しうるのです。つまり白馬村の場合に例をとると、麻 - 養蚕 - タバコ - 民宿といった形態で存在し、水菜は別にあります。しかも本業が零細なため、いつも安全弁の役割をけだし、経済の二重構造的性格をもっているので、本業と副業との位置のバランスを失ったときは,昆虫の脱皮現象のような形態として存在するにすぎないのです。それが民宿の事業化であり、通称旅館です。そして、その規模、形態の大きいもので、洋式化したものがホテルということになります。このように経営形態としてとらえるとき、ホテル業のように近代的な経営形態が存在し、高度な収支計算により、利益がどのくらいか予測され。今後の利益計画などがなされるのに対して、民宿は経営者のかん(勘)にたよっているのです。とくに特殊な商品形態をもっているので、ストックもなければ、販売予測もつかない商品である上に、設備役資によって、どれだけ売上が仲びるのか明白でないのです。このような不安定な要素をもった民宿経営に対して、どのような民宿経営がなされていくか、また地域経済の今後の発展のために考えていくことによって意義があるのです。
 しかし、観光創造により、必ずしもシビル・ミニマムな状態とはいえないのです。ややもすれば、民宿経営によって、本業をも無にしてしまう恐れもあるわけで、もっと大げさないいかたをすれば、一定地域に住民が定住することさえ危ぶまれるのである。このようなことから過疎問題の招来も考えられるのです。最近は所得の向上、週休2日割の普及、環境の公害問題の激化等の要因により、自然の破壊されていない過疎地域は、いまや観光や保養の観点から見直されつつあります。この反面、地元に対しては自然環境の汚染、破誤、地域資源の収奪、人情風俗の悪化、生産意欲の減退等、前途多難な面をもっているにせよ、なんらかの方向性を見出すことにより、地域住民や民宿経営者、そして観光客との調和が保たれて、よりよい国民的な観光レクリエーションの場にしたてようということには意義がありうります。そして、これから研究をすすめていく方法として、民宿の立地・民宿の経営、民宿の実態を把握し、民宿の諸問題を経営学的・地域経済学的見地から検討し、民宿経営の今後の方向とあり方を考えていきたい。

田舎暮らし

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