民宿の立地

 民宿の立地を考える場合、まず最初に定義しておかなくてはならないことは、立地についての考え方です。そこで立地とは「何かあるもの、住宅、工場、商店、学校、役所、空港、都市などが占めている場所のことです。場所の基本的属性の一つに住設があります。そこで立地とは、何かあるものが占めている位置と解されることが多いようです。また立地は、あるものが占めるための場所を定める行為、あるいはあるものが場所を占めいる状態という意味で用いられることもあります。」とする説に従って考えていくことにします。従って、民宿の立地とは民宿の占めている場所のことで、民宿の位置と解して、その位置においてなんらかの行為をしている状態を意味していると解する。そして,「立地しているもの,あるいは立地を定めようとするものを、かりに立地主体とよぶ」として、この立地主体に対して、他の場所とは違った影響をおよぼすある場所のもつ性質あるいは状態を立地条件として考えることにします。
 また民宿を観光産業として考える場合、観光産業立地と関係してくることは、いなめない事実でしょう。そこで観光産業立地について、観光産業立地は、気候、地形、用排水、用地、輸送、通信施設、労働力、公害、消費地、その他などが主なものである。としています。

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 民宿の立地について考える場合、大きく分類すると、民宿の周囲の環境の立地と、民宿の機能それ事態に大別されます。前者を環境立地といい、後者をここでは民宿施設機能立地とします。
 位置の環境立地は民宿の立地を考える場合、もっとも大切な条件でしょう。この位置については他の企業についてもいえることかもしれません。従って、社会的条件としての人口移動、地域開発、工業開発、交通体系、道路網等があげられ、また自然的条件などによる影響をうけるものと思われる。このように諸条件によって影響をうけるので、重要な立地条件です。
 この立地条件をマクロからミクロに向かって三つほどの段階に区分し、別々に考察する必要があります。第1は、地域の立地条件。第2は、地区の立地条件。第3は、地点の立地条件。概念的には、地域のなかにいくつかの地区があり、地区のなかにいくつかの地点があります。個々の企業は、特定の地域内の特定の地区の特定の地点にその位置を構えるわけである。としています。
 このように民宿の地域をとらえる場合、たとえば信州の民宿が地域とすると、その中の一地方の白馬村の民宿が特定地区となり、その細野集落が特定地点というようになります。このようにとらえるのも一方法です。
 住設の環境立地に合わせせて考えなくてはならないことは、自然的な環境立地です。民宿の立地条件にはかかせないものです。とくに影響を与えられるものとして、気候があります。つまり天候により左右されます。具体的には、晴天日数、気温、湿度、風力、風向、雨量、積雪、荒天の時期などをあげることができます。この気候に関係することとして、災害を軽視するわけにいきません。たとえば、地震、台風、出水、津波、火災、公害など重要な要因です。とくに最近は騒音、煤煙、ガス、臭気などの各種の汚染による公害問題はマイナスの立地要因として無視できないものになっています。このような自然現象だけでなく、山岳、高原、湖沼、渓谷、河川、海岸、島、峠、展望地点、岩石、動物、植物、温泉なども立地条件に包含されています。
 社会的な環境立地は、人文資源や観光対象施設についての立地条件を社会的な環境立地として考えています。従って、人文資源としては史跡、社寺、庭園公園、碑、像などであり、観光対象施設としては観覧施設、娯楽施設、スポーツ施設、産業施設、生活施設、年中行事、芸能、工芸技術などです。
 交通の環境立地はモータリゼーションが進むに従って行動半径は増大し、流動量も上昇する可能性があります。このことから交通問題が大きなネックになります。
 とくに高速道路との結びつきを考えなくてはなりません。それに客の移動だけでなく、民宿で使用する原材料、食料品、資材などの輸送搬入にも大きな影響を及ぼします。また、道路と、の開発計画、利用現況と予測、問題点と整億計画など、高速道路とその開発計画、その他、航空路網、鉄道とのコース、港とのコース、観光団のバス輸送、水中翼船・モノレールなどの特殊輸送機関などの総合的な人の流動状況などが、交通環境に影響を及ぼし、それがプラスになろうがマイナスになろうが、立地条件の大きなウェイトを占めていることは間違いありません。
 その他の立地条件として、地域の成長性ということが問題になります。とくに核になる主要都市の発展性があるか、ないかなど、また最近のドーナツ化現象の傾向があるかないかなどです。それと、民宿をとりまく人口について問題となるでしょう。これは、直接利用客数としての人口はあまり大きな意味をもたないにしろ、後述の民宿経営に必要な労働市場としての人口推移について重要です。また、通信、情報に関しても重要であろうし、交通のころで述べたように,原材料(食料品,資材)購入が量、質、価格ともに安定した供給ができるかどうか問題になります。最近はエネルギー危機とまでいわれていますが、光熱、重油、ガソリン、ガス等の購入ができるかどうか、上下水道は問題なく利用できるかどうかが立地条件として考えられるでしょう。

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