長野県白馬村民宿

 白馬村民宿は、全国的にもその名を知られ、八方尾根山麓を中心にスキーブームをかもしだしています。そして目に目に民宿経営も多額の設備投資により旅館なみに発展しており、そのためか、民宿の素朴な味も変容しつつあります。
 これは、白馬村観光資源に対する観先客の考え方と民宿経営者の経営方法に大きな影響を与えたものと思います。この結果、民宿間の無理な過当競争をまねき経営に困難をきたしたのです。このような状況を商業経済的立場より実態調査を行い、その資料をもとにして科学的な分析をし、今後の民宿経営はどのような経営形態を考えていったらよいか、また民宿が地域経済に与える影響や民宿自体の発展に寄与するかを究明しようと試みたのです。しかし、当時は先学者達の研究資料を探すのが困難でした。たまたま人文地理的研究や民俗的研究があったため参考になりました。

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 当時の状況について、説明するために、実態調査の概要をもとにして展開することにしました。
 昭和44年8月の白馬村民宿は444戸で、そのうち38戸が旅館でした。この民宿に対して、実態調査の調査結果をもとにして、当時の白馬村民宿の経営実態を明らかにしてみましょう。そうするこにとよって、白馬村の白馬村民宿としての現在のあるべき姿になっていくと思うからです。
 まず、白馬村の民宿の歴史については、旧糸魚川街道ぞいの佐野、森上の遍路宿的形態から民宿に発展したものと、専業としての旅館業に代ったものとがあります。他方において、農業をしながら、たまたま白馬登山のための一夜の客が宿とするところから、簡易宿泊業としての形態です。当時の簡易宿泊業について、法的には、食品衛生法、旅館業法等で規制され「季節簡易宿泊所」として認められていました。この簡易宿泊所も監督官庁に違いがあります。米飯を提供すると保健所、しないと地方事務所の区別がありました。また租税の対象となるのは宿泊施設の大小が大きな基準となり、旅館業は2畳以上、簡易宿泊業の場合は1.5畳で計算されました。当時の白馬村の民宿の場合、租税収入の割合は、所得税の4%とされていました。しかし、租税内容は明確でなく、青色申告の場合を除いて、施設、設備などによって主観的に決定していました。当時の青色申告の状況は民宿経営者の三分の一程度でした。その他,消費方法により建築基準をとりいれ、2階建以上の許可制にするとか、階段の角度、高さや天井の高さなども評価要素としていれていました。もちろん、消防法の基準も、すでにとりいれていました。
 ところで、白馬村の民宿は、前述のごとく、遍路宿的発展経過の中から営まれたものは明治以前よりあり、簡易宿泊業的発展は細野集落を中心にして明治以後のことです。とくに後者の場合は、アルプス登山者の入り込みにより民宿数が増加の一途をたどり、昭和20年以後スキーにより脚光をあびるようになります。しかしながら、旅館との競合関係にある民宿は、当然一時的に県で制限を加えてあります。この民宿の増加抑制策も戦後の高度経済成とともにレジャーブームにより利用者は増加し、抑制策もかいなく、増加していきました。
 白馬村観光協会は、白馬村観光連盟組織でできていて、加入者は民宿組合、リフト会社、ケーブル会社、別荘会社その他のクラブ等である。宣伝活動は夏、冬にチラシを全国の観光協会を通じて配布、ポスターを各駅、協会を通じて配布し、村からの補助金もでています。
 以上の経営管理状況について筒単に説明しておくと、経営組織は、ほとんどが個人経営で兼業です。兼業の種類は農業が最も多く98%で、商業・その他が2%となっています。自己資本は50万〜1,500万円まで、さまざまで、他人資本は50〜600万円となっています。他人資本の調達先であは農協の68%が最も多い。部屋敷は,和室がほとんどで平均8〜10室です。娯楽室、洋室のある民宿は、和室15〜20室の民宿に多い。
 客の方面別は、関東47%関西42.8%、県内5.1%、北陸1.1%、外国0.3%、その他3.7%となっています。客の男女の比率は6対4です。
 宿泊延べ人員は村全体で180万人(昭和44年)と推定されており、1軒で100人以下から5,500人とまちまちですが、400〜700人が最も集中しています。滞在期間は平均3〜4日が多い。最繁忙期は12月〜3月まで、最閑期は4月〜11月(7〜8月を除く)となっており、最繁忙期が集中的であることがわかります。

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