民宿の問題点と将来性

 民宿経営の最繁忙期は12月から3月までの3〜4ヵ月と集中的な状況にあります。そして最閑期は9月〜11月、4月〜6月であり、7、8月と12月〜3月を除いて暇な状態で、学生村の開設により夏期間も民宿経営が一部可能となった状態です。
 学生村の発展するかしないかは収容能力の限界が上げられ、また夏期間のスポーツ練習のための合宿場と施設によるもので、現在の私設のバレーコート等は増加しているものの、それだけでは不足であって、村内の教育施設を利用しても客に応じきれない始末です。それに農業が夏期から秋にかけて忙しくなり、労働力不足により老人、女子労働に依存する結果となっています。労働力配分の均等化をしていかないかぎり民宿経営の限界があり、白馬村の婦女子に病人が多いといわれているのもそのためでしょうか。
 また最繁忙期には、家中の部屋を貸出すため、一家族が一室で寝起きしなくてはならず、児童生徒は勉強をする場所もないしまつです。それに感受性の強い児童生徒は、外来客のレジャームードによる一時的消費動向に影響されます。それは表面的なつくろいをする華美な生活態度であるのに、常日頃の生活態度と思い込ませる結果となります。この観光ムードは、教育的立場より好ましくなく、学校の教育外の問題であるだけに、大きな問題をかかえています。また村内において、その場かぎりの客を相手とする風潮より、物価高の傾向にあり、とくにスキーシーズンになると、催し物が多く、時にジャーナリストのやりだまにあがるのです。

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 次に民宿の内部的な問題として、まかない品仕入れの問題もあります。調査結果は、周辺より購入する割合が高く、冬期間は交通の便が悪いことにより、高い品の購入ともなろうし、不足がちな野菜類が農業経営とのかねあいから、比較的簡単な野菜栽培に移行することにより、農業、民宿の一体化形態にもなり得るのではないでしょうか。そして独自の山菜の味を出せるような、農業、民宿の一体化を実現したいものです。
 経営状況のうち、設備投資の内容を調査することは大変困難でした。従って設問の設定に工夫をこらしました。その設問内容は、たとえば施設として洗面所、台所、部屋、娯楽室、新築としました。この施設の割合の大きさを、経費の面から具体的に調査しました。 95戸の回答中、年間1万から1千万円の投資をしているのが特徴でいのうち借入金が大きいことがわかりました。
 ところで、民宿の投資方法について、施設の充実でなく、一時的に、客の引受けを目前にして部屋敷をふやしている実情です。これに対して客の要求するのは、娯楽室、便所、わらぶぎ屋根、イロリとなっています。つまり客の要求と、民宿経営者との間に大きな開きがあります。これは設備投資の不足と、断片的な設備改善によるもので、現実には長期的計画による設備投資が必要なのです。民宿の素朴さも、このようなところから、そなわれていくのです。
 そこで、近代的なホテル並にして、一時的に客を吸収して、設備投資の経済的効率をよくしていくのでなく、客の要求と、民宿の味を民宿独自のものとして残しておかなくては、長期的設備投資として不安なものがあります。
 一時的な客の受け入れのみに設備改善を行うのではなく、民宿独自のよさを作っていかなくては経済的効率はうすく、民宿経営者各個人の着想でなく、長期的な民宿の展望と設備を考えなくては、他地域との競争におくれをとってしまいます。それには、冬期間のスキーのみでなく、民宿に要求されている娯楽施設の共同化施設の設置も解決方決の一つであろうし、そうすることにより、年間を通じての民宿経営にもなろうし、現在、夏期間に集中している学生付設備としての運動場と同様に、村全体で利用できる共同施設が必要となるでしょう。
 その結果、四季を通じての民宿経営となり、民宿間の競争も同地区間の競争でなく、村全体としての競争に移行し、民宿経営の主体性ができ、農業からの脱皮がはかられるでしょう。
 設備投資の違いにより、設備の良好が評価される現今、どうしてもその差による、客の集中化はさけられないものがあろうし、集中化するところは、料金の面でサービスもできるでしょう。しかし、のようなところに目を向けているのでなく、他にも同じ競争者のいることを認識して、宣伝広告も個人的な宣伝効果にゆだねるのでなく、村全体で観光化していくことにより、村全体の効果をはかっていくことができるのではないでしょうか。
 周辺よりの購入が多いのもそのような購入場がないことがあげられるでしょう。これは、民宿の労働力不足もあるでしょうが、これをカバーすることのできるのは共同化であって、各地域間で代表者、もしくは当番割にして共同仕入れをすることにより、無駄もなくなり、労働力の不足をカバーできるでしょう。もっと進めて、村に一ヵ所仕入れ場を設置して、そこで、民宿の必要物購入をはかってもよいでしょう。そのようにすることにより、労働力の軽減化かでき、経費もかからず、企業体としての民宿となるでしょう。
 国民の所得増加により、ますますレジャーが多くなるでしょう。そこでね観光としてのスキー、登山でなく、共同化としての多目的な施設を殷殷し、企業体としての民宿への移行をしていかなくては、これからの民宿の限界となり、ますます観光人口の集中化が激化する今日、必要なところに労働力の不足がみられるようになり、民宿経営もその現象ではないでしょうか。
 民宿の企業化の第一歩として、経理面をもっと明細化し、収入、支出を家計からきりはなし、家庭の教育も企業化としての民宿により、子供達に一時的な収入による華美な消費動向もふせぐことができるでしょう。しかし、家庭と民宿経営の離脱、それが民宿の素朴な味を失う結果となると批判されるならば、民宿の独自的経営をしなくてはならないし、レジャーの一時的集中化をさけることをしていかなくてはならないでしょう。
 ますます集中化していくレジャー人口に対処するには、企業化していくことであろうし、そのために、村全体でレジャー産業の長期的展望を立案するための学習会等を開き、各民宿経営者が専門家になる必要があるでしょう。また民宿経営は自然的条件のみ利用だけでなく、農業との結合による民宿、農業と一体化するための条件を整備し、農業の省力化と都市型の例にみるような高原野菜等の作物転換が必要でしょう。そして、多目的施設の設置を行い、企業体としての民宿を立案していかないかぎり、ますます発展するであろう観光に対処できなくなるものと思います。
 それにしても最近の観光客の客層の変化により、民宿経営も変容し、朴な昧も客層により変容することも無理からかことです。過去の味より、現代の味を大切にしようとする傾向は、ますます客の変容により、その促進がはかられるものと思います。それが民宿に対する客の不満となってあらわれることになろうし、反対に民宿経営者からもでてくることになります。
 とかく、客は民宿に対しててホテルなみの基準で近代的な施設、設備を要求し、最大満足を得ようとします。民宿経営者は、それに対してできるかぎりの対応をしなかったら、客の最大満足は得られずして帰路につくものと思います。民宿の経営は民宿がホテル化するのではなく、これからの民宿の味を独自で創造していくことにより、民宿のもつ昧が国民の基準の創造となり、不満も解決されていくものと思います。宿泊料金が旅館より割安であるだけのキャッチフレーズでなく、民宿の独自性により観光客を受け入れることが望ましいのではないでしょうか。しかし、この分析の時点から、かなりの年月が経過しているので、これ以上の断定は許されないものと思いますが、今後、民宿経営を新たにしていく者にとっては大切なことであり、温故知新ということもあるので、大いに注視してもらいたいと思います。

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