学生村経営の問題点と解決策

 おそらく学生村を開設した意味としては、過疎化していく地域に対して、若者達に再認識してもらう意味もあったのではないでしょうか。それは老人の「与えるという喜び」の変化となってあらわれたのでしょう。そのことについて坂井氏は次のように記しています。
 「新野がかつて生産に主力をそそいだ結果、物質の生産の増加があり、そのため一面に国民の生活を豊かにして生活をうるおしたのは事実ですが、人間は「獲る」という事に力をそそぐのと、その結果として、この増産がかえって人間の心を貧弱にし生活をがめつくし易いものです。とればとるほど村の容相は貧しくなり個人主義となって住みにくい点がふえてきた。この原因を正しい道に戻したい。それには第1に「与える」ということの喜びを持つことが第1の鎚である。この喜びを学生村に実現しよう。そのために素朴な愛情、技術の奉仕。この二つがあれば希望が可能になる」としています。

スポンサーリンク

 この生産に主力をそそぐことと、人の心を貧弱にすることは商業経済調査とは無関係とはいえ、考えさせられるものがあります。さりとて、経済的な生産は精神主義だけではたして可能かどうか、疑問が残るのです。過疎問題と老人の生きがいは大きな課題です。最近は、この問題も過疎から新しい問題に変化してきています。若者の魅力は工業生産に従事する傾向をみせつつあります。その一つのあらわれとして、「阿南町工業開発会社」により解決して、とくに新しい技術開発をして特許をとってカギ製品をつくっていく道を新しく開いたことは意義のあることで新野の住人が他地域の若者にPRしても若者の働く場所がなかったら、魅力とも若者を地元へともいえないでしょう。これからの学生村はどうなっていくのでしょうか。現在の学生村の形態を残していくことは、信州の自然を残していくに等しい。他方では、他地域において、企業形態化していく民宿業もあります。つまり民宿の企業経営として観光民宿を形成しているのです。たとえば白馬村、飯山市にみることができます。そして、この形態は所得については8割以上が民宿経営によってまかなわれています。このようなことからみると、同じ民宿でも奉仕事業をしている民宿となるでしょう。これは大変いいことですが、「老人の生きがい」として継統すべきです。しかし過疎問題を解決する方策とはほど遠いことです。
 本調査結果によると、後継者は魅力を感じていないし、生活源は他に求めることになり、下伊那地方でも浪合村は、すでに47年度は2戸となっています。そのために、最近開設した地域では宿泊料金の値上げがでてきています。この現象からみると、現在の民宿と観光民宿の中間的性質をもった過渡的段階かもしれません。いずれにしても今後の方策として、旧来からの民宿は、学生の希望、学生の種類の変化に応じていかなくてはなりません。法律的には「旅館業法」第2条の4項「旅館業法施行令」第1条の2項、3項、2条、「旅館業法施行規則」第3条の適用であって、民宿の特別な規定はありません。新しい時代に対応した民宿経営は旧来の学生村民宿の良さを崩壊するとしたら、これを存続させるべく規定が必要となるでしょう。しかし、旧来の学生村を存続させ、発展させることは過疎対策とは、まったく正反対であり、老人の生きがいと反比例します。望郷の地、ふるさと思考型の学生村でなくて、生活者としての「ふるさと」にしていかなくては若者に魅力はありません。
 学生村の戸数が減少しているところもあり、これに対して、宿泊延人員は増加している傾向にあります。それに対して宿泊料金が1日1人数百円の収入しかないのです。そして学生の宿泊期間の短期開化により、ユースホステル形式のつもりで予約して、2、3日で予定を変更して行く傾向が多くなってきています。そのようなことが「宿泊のエチケットを知らない」と経営者は不満を出すのでしょう。
 このようなことから、1回限りの客としての学生への変容を考えていかなくてはなりません。単なる精神主義では対処できなくなる時代が近い将来にあることを考えていくか、旧来の方法を残存し、信州の公害のないふるさと化しておくかが問題でしょう。しかし中央道開設にともない、ますます、村の変容は激しくなり、自然の荒廃も考えられます。そこで、どこまで観光化し、どこまでを自分達のレジャーの範囲にし、自分達の生活圏を作り、変化していく人的な学生資源と天然の資源である自然との融合していく接点を求めていくか、むずかしい問題です。ともあれ、この両者も人間の生活の根源としての所得を得る手段たりえないのであれば、過疎対策として、より一層工業開発に力が入らねばならないのでしょうか。
 学生村に観光的要素を入れずに、勉学の場としての「夏のふるさと」としておく場合、人的改善場として、青少年育成のリハビリテーションセンターとして必要な社会的施設を設置することが考えられます。このようなことは、福祉国家に必要なことであり、社会教育の場として必要でしょう。
 国や地方公共団体の要望事項中、道路の整備が最も多く、行政面として問題がのこされています。第2の問題として、福祉的施設としての旧来からの学生村を存続せしめるならば、施設設倚に援助すべきでしょう。たとえば、共同食堂の施設設置があげられます。また、学生の要望している夏だけでもよいから図書館を開館して文化的活動に力を入れていくべきでしょう。たとえば、近くの町村の図書館の充実と7月〜9月の3ケ月間臨時的にも開館し、辞書類や、郷土研究に必要な資料等の提供が考えられます。
 また学生が一番望んでいる娯楽施設を設置できればよいが、当面の問題として、公設的なテニスコート、バレーコート等の施設の設置が望まれます。この他学生の自治的な活動の場として、学生が自主的な交流をもとめ、研究をより一層深め、横の拡がりをもてる場を与え、学生村独自の経営で、学生に運営させる学生の自立の場を与える必要があるでしょう。これは当面、無理なことと思われますが、公共的投資により援助されていかないかがり学生村経営は遠いいにしえの村と化すでしょう。
 この学生村の経営分析は、すでに過去のものであり、現在はもっと改善されているかもしれません。

田舎暮らし

民宿の経営/ 民宿の概念/ 旅館業法と民宿/ 観光と民宿の関係/ 民宿の意義と方法/ 民宿の立地/ 民宿の施設機能/ 民宿の環境立地/ 宿泊機能を中心とした民宿の立地/ 民宿立地の一般理論/ 民宿の実態/ 長野県白馬村民宿/ 民宿の問題点と将来性/ 学生村経営の問題点と解決策/ 民宿経営の基礎概念/ 民宿経営の歴史/ 民宿経営の種類と形態/ 民宿の労務管理/ 民宿の情報管理/ 地域社会と観光創造におけるメリット/ 地域社会と観光創造のデメリット/