民宿経営の種類と形態

 民宿の経営形態を広義的経営環境と狭義的経営環境とに分類しました。前者は後者を包含し、具体的には前者は民宿外部的経営であり、後者は民宿内部的経営になりうります。しかし、本来の民宿経営という場合は後者のみを指すのです。従って民宿経営を生産および消費を包含する個別経済としてとらえ、生産経済の組織体として考えるのです。
 そして民宿経営は生産の種類に応じて各種の経営に分けられ民宿物財生産経営と民宿用役給付経営とに区分されます。前者の場合、生産物の種類、産業種別に応じて自然界から財貨を採取獲得して人の利用に供する原始生産的経営で農林漁業と、このように採取してきた物財を原料として、さらに物理加工をほどこす、いわゆる製造加工経営すなわち鉱工経営とに区別することができます。
 前述の原始生産的経営は製造加工経営に比較してみると自然力に依存する程度が大きい。後者は、用役給付経営(サービスなど)であって、民宿経営の場合、最も大きな割合を占めています。従って、前者のように有形財の提供に対して、後者は無形の財の提供になります。

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 民宿経営(狭義的経営環境)は、この両者(物財生産経営と用役給付経営)の統一が民宿経営形態とみることができます。しかし、このように狭義的経営環境としての経営形態把握では片手落ちになるので広義的経営環境をも考慮しなくてはなりません。換言すれば民宿外部的経営と民宿内部的経営の結合した経営形態把握がなされなくてはならないのです。
 ところで民宿経営を観光民宿と学生村民宿に大別し、前者は、より観光的立地因子の強いものを指し、後者の学生付民宿の場合は経済性を度外視して奉仕的動機に基づき経営をする場合を推しています。そして自然力に依存する割合が大きければ大きいほど農林漁業や鉱工業に立地するのです。具体的に説明すると次のようになります。
 農林漁業立地が強い場合、志向農林漁業になり、民宿化するに従って、ふるさと民宿、自然休養村民宿、特別町民制付民宿となります。
 鉱工業の場合も同様に民宿経営に立地している場合、陶磁器民宿、農芸加工民宿となり、工業立地化するにしたがって、漁業加工、繊維加工、レジャーの用品製造、レジャー機械製造となります。
 商業ならびにサービス業の場合は、自然的要素プラス民宿経営ならびに商業の関係により商品化する場合と顧客自身の採取(山菜、ぶどう狩り、りんご狩り、みかん狩り、釣りなど)する場合とがあります。前者は民宿経営者が直接にか、あるいは間接的に供与する場合もあり後者は高菜者ならびに農業者との結合による間接的な供与の場合と一定の場の提供のみで民宿経営者とは無関係の場合があります。
 観光産業の場合は民宿外部的経営との結合が強く、自然的要素が最も大であり、場の提供によって民宿経営とが並存する場合です。日本全体では、この割合が最も高く海水浴、スキーなどのレジャーによるものが自然的条件に左右されることが多い。海水浴は海型民宿経営の典型であるのに対して、スキーは山型民宿経営の典型ともいえます。
 次に民宿内部的経営の一般的諸形態について分類してみましょう。まず経営主体である人的構成についてみてみると単独経営、1人経営が多く、共同経営は少ない。従って家族労働による経営であって経営者個人の経営能力の依存する経営形態です。経営規模は小規模にして経営者1人で全体管理し、具体的事項は部下等に委任できない経営組織です。
 また、そのために経営者の人格、能力に係わることが大きく、家族の合議制によって経営が進行していくのです。この場合、家族と臨時的従業員との関係は意思決定に直接参画して合議制経営のもとで指揮、管理にしたがうため時間がかからず、業務に停滞をきたすこともなく対立や権限の争いもなくスムーズに行く家族的零細経営形態です。
 しかし、経営目的である利潤動機については営利的経営の強い観光民宿と非営利的経営の強い学生村民宿の二分類できます。以上のように分類してきた民宿経営形態の特徴の諸点を整理してみると次のようになります。
 (1) 民宿経営の創設および閉鎖が簡単でかつ容易である。
 (2) 民宿経営上の損失危険を一身に負担しなければならないと同時に利益をあげて自己の所得に帰するのである。
 (3) 民宿経営の指揮および統制が1人の手に集中している。
 (4) 民宿経営上の機密を保つことができる。
 しかし、民宿経営形態の問題点のあることを忘れてはなりません。従って、その点を次に掲げることにします。
 (1) 民宿経営は個人の特徴によって存続しているので、生命および活動能力、老齢化、疾病、死亡等活動能力の喪失などすべて運命を共にしなければならない。
 (2) 民宿経営を失敗した場合、経営者は全責任を負わなくてはならない。破産法規程の場合を除いて債権者は民宿経営者の全財産に求償されるので無限責任を負わねばならない。
 (3) 1個人の資本信用力には限度があるので、大資本を要する大規模経営には適していない。
 (4) 民宿経営の場合、個人の能力には限度があり、民宿経営に必要な物財の仕入、販売、経理、税務、労務、庶務、金融等に限界があります。従って、経営能力の職能遂行の限度は経歴、学歴等から特殊な範囲に偏向することになります。このようなことから個々の経営管理に不均衡が生じやすい。
 以上のように民宿経営の短所、長所を整理してみると、民宿経営は個人企業としての性格をいかすならば経営者もしくは、その使用人によって管理できるような事業体でなくてはならないし、資本は大資本を要しない範囲での小事業の経営形態です。

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