地域社会と観光創造におけるメリット

 民宿の経営の通年性からみた場合、冬期の観光民宿、夏期の学生村(勉学、合宿)を併業する民宿の三分類することができます。いずれにしても最近では明治以後の遍路宿から発展した民宿(たとえば白馬村民宿)があります。
 次に民宿の定義をしてみると、民宿とは宿泊客を接客し、金銭を得ることを目的として業を営むものをいいます。とくに観光民宿は、この定義のほかに自然的条件が加味され、これは民宿経営の立地条件となっています。
 自然的条件として、冬期は雪積によるスキー、夏期は冷涼で近くに山、湖、川などがあること。
 そして経営形態から、施設、設備は現存の施設、設備を利用する。労働力は自家労働でまかなう。食料品は自給自足する。以上の三原則によって経営しています。

スポンサーリンク

 次に民宿の歴史は、白馬村民宿の場合、昭和11年まで、遍路宿として遍在し、昭和12年にはじめて登録します。しかし、長野県真田町の菅平民宿は昭和2年にすでに登録しであり、県下では二番です。
 周知のように白馬村の場合、最初は登山客のための民宿でしたが、昭和20年にスキーにより脚光を浴び、経営状況もよくなってきました。
 従業員は常時雇人が少なく、季節的に臨時雇人が多い。そして農業からの収入を民宿経営設備ならびに経営経費に充当し、不足額は農協、地方金融機関から借り入れています。また農地を売却し、施設、設備に充当するものもあるし、夏期の運動施設(テニスコート)に田畑の転用がみられます。その後は過当競争のために問題も多くなり、とくに正月等に雇客が集中し、その受け入札のために施設・設備の拡充するものもあるし、借入金による利息返還が悩みとなっています。それに加えて、三原則の一つである労働力不足の問題や食料品の仕入に関する物価問題など、民宿経営にも大きな転換期を迎えつつあります。そして、近年の民宿経営の問題は良策問題と表裏一体をなし、今後の民宿経営の方策が必要となっています。
 民宿の経済効果を測定にあたって、長野県の民宿を対象にして分析をすることにしました。その内容については、雇用効果の分析をし、次に所得効果、財政効果の順序で分析し、最後に、その産業関連効果を検討します。
 昭和46年度の長野県白馬村についみると、繁忙期の宿泊客に要する従業員数は調査結果から6人となり、経営規模別をみると宿泊客8〜10人に1人の従業員となるにの調査の算定方法について説明すると、民宿一軒平均の宿泊者は648人、月平均57人となります。繁忙期には、一日約1,300人前後の労働力を要すると推定できます。このうち家族従業者は3人弱とすると、民宿の平均雇用は3人となります。しかし閑期にいたっては、宿泊客は一軒平均2人に減少するため、家族従業員による労働力の充足でよく、通年して従業員を雇う必要がなく、大規模経営している民宿ほど、この差が大きくなっています。従って、臨時的雇用の効果の実現はできるが、常時雇用の効果はむずかしい。
 そこで閑期の間は、家族従業者は兼業として農業、商業、工業、その他の産業に従事することになります。しかし、長野県飯田下伊那地方にみる学生村は、家族従業者のうち婦女子の労働に限定され臨時的雇用もおこなっていない例もあります。

田舎暮らし

民宿の経営/ 民宿の概念/ 旅館業法と民宿/ 観光と民宿の関係/ 民宿の意義と方法/ 民宿の立地/ 民宿の施設機能/ 民宿の環境立地/ 宿泊機能を中心とした民宿の立地/ 民宿立地の一般理論/ 民宿の実態/ 長野県白馬村民宿/ 民宿の問題点と将来性/ 学生村経営の問題点と解決策/ 民宿経営の基礎概念/ 民宿経営の歴史/ 民宿経営の種類と形態/ 民宿の労務管理/ 民宿の情報管理/ 地域社会と観光創造におけるメリット/ 地域社会と観光創造のデメリット/