自然環境保全のための法制度

自然環境を保全するための法制度としては、自然環境保全法、自然公園法、森林法、自然保護条例などをあげることができます。鉱業法、宅地造成等規制法なども事業活動や宅地造成に関連して自然保護を配慮しており、都市計画法、首都圏近畿圏近郊縁地保全法、文化財保護法、吉都保存法なども、自然保護に関連する法律であるといえます。しかし、自然保護をその法律の第一の目的にしているものとしては、先にあげたような法律があげられるにとどまるのが現状です。

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自然環境保全法は、自然環境の保全の基本理念その他自然環境の保全に関し、基本となる事項を定めるとともに、自然公園法その他の自然環境の保全を目的とする法律と相まって、自然環境の適正な保全を総合的に推進し、もって現在および将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的として昭和四八年四月から施行されました。同法は、自然環境の保全は、自然環境が人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、広く国民がその恵沢を享受するとともに、将来の国民に自然環境を継承することができるように、適正に行なわれなければならないと定めています。自然環境保全法は、自然環境保全のための基本法といってよく、自然環境保全を施策としては総合的統一的に推進するために、自然環境保全基本方針を策定することを国に義務づけるとともに、国土内に、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域を設定することを定めています。
自然公園法は、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進をはかり、もって国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする法律です。自然公園には、国立公園、国定公園、都道府県立公園の三種類のものがあります。国立公園や国定公園は、環境庁長官が指定し、都道府県立公国は、都道府県が条例で指定することになっています。
森林法は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項及び森林所有者の協同組織の制度を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もって国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とするものです。今日、都市周辺の林野の破壊が急速に進むに従い、都市周辺部の緑地、森林林野の保全の必要が強調されています。この意味で、森林法は、首都圏近畿圏近郊緑地保全法とともに、その意義がみなおされつつある。
自然保護条例は、多くの地方公共団体で制定され、当初は自然保護憲章的なものが多かったのですが、自然破壊が増大するに従い、多くの強い規制手段を含むものに変ってきているといわれています。
自然環境保全法は、環境庁長官が、自然環境保全審議会にはかって、自然環境保全基本方針を作成し、閣議でそれを決定するものとしています。全国の自然保護行政の統一的計画的推進の基礎が、この自然環境保全基本方針です。原生自然環境保全地域は、原生自然を保護するため環境庁長官が指定する当該地域内においては、同法一六条により、建築物の新増築、宅地の造成をはじめとして、落葉もしくは落枝の採取、火入れまたはたき火をすることまでが、原生自然環境を破壊する行為として原則として禁止されます。自然環境保全地域は、高山性植生または亜高山性植生やすぐれた天然林を保護するため環境庁長官が指定し、保全計画にもとづいて規制を行なうものです。自然環境保全地域内には、特別地区、海中特別地区を設けるとともに、特別地区内には、野生の動植物を保護するために、野生動植物保護地区が設けられます。これらの地区内では、環境庁長官の許可のないかぎり、建築物の設置や土地の形質変更は許されず、野生動植物保護区内では、野生動植物の捕獲採取が制限されることになっていいます。
自然公園法によれば、自然公園に指定された地域は、特別地域、特別保護地区、海中公園地区にそれぞれ指定されます。これらの地域内においては、一定の行為は、都道府県知事の許可なくしてはなしえないことになっています。例えば特別地域内では、工作物の新増築だけでなく、屋根等の色彩の変更までも許可対象です。特別保護地区では、たき火や車馬の乗入れも許可対象とされています。また海中公園内では、物の残留や汚水の排出も規制されることになっています。また、自然公園で、特別に地域指定をうけていない地域においても大規模の工作物の設置や、土地の形質の変更は、都道府県知事に対し、一定の様式で届け出ることになっています。
森林法によれば、農林大臣が保安林の指定を行なうことになっています。こうした保安林には、公衆の保健のための保安林や名所または旧跡の風致の保存のための保安林も含まれています。保安林は、都道府県知事の許可なくしては伐採してはならないことになっています。また、都道府県知事の許可なくして、家畜の放牧をしたり、土地の形質変更や、落葉もしくは落枝の採取をしてはならないことになっています。
自然保護条例においても、なかには一定の地域を、環境緑地保全地区や自然景観保護地区に指定し、これらの指定地区内における、工作物の新増築や土地の形質変更を許可制にするものがあらわれていることが注目されます。

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