自然保護法制の問題点

自然環境保全法の制定により、日本の自然環境保全法制は整備されましたが、種々の問題点も存在します。自然環境保全法は、自然公園の地域外で適用されるにすぎず、原生自然環境の保全は、民有地および森林法上の保安林の区域を除外しています。都市近郊緑地の保全対策が欠落しています。自然保護条例による地域の独自の創意ある規制を、一律に定型化してしまう危険のあること。そして森林法の運用などが、現状維持に傾きすぎ、積極的な施策に欠けることなどがあります。

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文化環境を保全することを第一の直接的目的とする法制度としては、文化財保護法および古都保存法をあげることができます。古都保存法は、古都の歴史的風土を保存するために制定された法律です。この法律によれば古都とは、京都市、奈良市、鎌倉市および政令で定めるその他の市町村をいいます。古都内には、内閣総理大臣の指定する歴史的風土保存地域および同地域内で特に枢要な部分については、歴史的風土特別保存地区が定められます。歴史的風土保存地域内では、建築物の新増築や土地の形質変更、宅地造成等が、府県知事への届出を必要とします。また、歴史的風土特別保存地区内においては、建築物の新増築や宅地造成、土地の形質変更だけでなく、建築物工作物等の色彩の変更についても、原則として府県知事の許可を必要とすることになっています。
文化財保護法は、文化財を保存し、かつその活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とするものです。文部大臣は、有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定し、これを保護するそのほか、無形文化財、民俗文化財の指定と保護についても、定めています。近年の開発ブームでとくに問題になってきたのは、埋蔵文化財です。土地に埋蔵されている文化財については、発掘に着手する三○日前までに、文化庁長官に届け出なければなりません。その際、文化庁長官は、その発掘の禁止、停止、中止を一定の場合命じることになっています。このほか、文部大臣が史跡名勝天然記念物の指定を行なった場合には、文化庁長官は、その保存のため一定の規制行為を行ないうることも定められています。これらの文化財保護行政のために、文化財保護審議会がおかれています。
自然環境、文化的環境の保全は、消極的な、問題対応的なものに留ってはなりません。人間の健康や生活にとって不可欠な自然的文化的環境をむしろ積極的に創出してゆくことが今日ほど望まれていることはありません。こうした法制の課題として、環境保全を行政の指導理念として確立すること、環境保全行政への国民参加を拡充すること、自然環境保全と補償との関係を明確にすること、つまりいわゆる不許可補償の問題などを解決してゆくこと、国と地方公共団体の機能分担を、自然保護行政を進めるうえで十分に考えることが強調されています。

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保安林/ 自然公園法上の公用制限/ 河川保全区域の指定と制限/ 道路法における沿道区域/ 自然環境保全のための法制度/ 自然保護法制の問題点/ 住宅地の価格/ 大都市と土地/ 立木の売買/ 立木の移転に関する公示方法/ 立木所有権の留保と分離/