国有地における入会権

入会権は、生活共同体的な地域住民集団が総有的に土地を管理し支配する権利です。その土地、地盤が住民集団の共同所有に属するときその入会権は共有の性質を有する入会権、地盤所有権が集団以外の第三者に属する場合その入会権は、共有の性質を有しない入会権となります。そしていずれの入会権も、民法は各地方の慣習に従うと定めているために、地盤所有権が何びとに帰属しようとも入会権たることにかわりはなく、したがって地盤所有権の帰属と入会権の存否とはなんら関係ないのです。ただ実際上、共有の性質を有する入会権は土地の共同所有権であるため、入会権者の総意により自由に使用収益処分しうるけれども、共有の性質を有しない入会権は他物権であるため、土地所有権との対抗関係を生じ、採取行為の制限や地代の支払いなどその権利の行使にある程度の制限が加えられることが多くなります。しかしそのような制限も入会権の存在を否定するものではありません。共有の性質を有しない入会権において入会林野の地盤所有は私有、公有、国有に大別されます。私有地についてはすべて民法の原則に服し問題はありませんが、公有地、国有地はその土地の公的性格の故に入会権のみならず私権一般の存在が問題となります。公有地については、地方自治法上公有財産とされ、そのうち公用または公共用に供される行政財産には私権の設定が禁止されますが住民の入会利用に供される土地は公用または公共用財産ではないためこの規定は関係ありません。公有財産中入会権の在否が問題とされるのは市町村ならびに財産区有地ですが、これに関して、旧町村制九○条の規定を理由に、住民の慣習的な使用権は公物使用権であって民法上の入会権ではないと市町村や財産区有地上に入会権の存在を否定する見解が行政庁によって採用されましたが、裁判所はこの見解を否認し、一貫して市町村、財産区有地上に入会権が存在することを認めています。したがって公有地上入会権の存在を否定する法律上の根拠はありません。

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国有地については地方自治法における使用権の規定のごときものはありません。しかし国有地は国有財産とされ、そのうち行政財産には私権の設定が禁止されます。ところがこの行政財産のなかには公用、公共用財産のほか企業用財産が含まれています。企業用財産とは郵便業務用等の財産をいうのですが、国有林野もこの企業用財産に該当し、したがって国有林野は行政財産とされるのです。入会権の存否が問題となる国有地は国有林野が多いので、国有林野が行政財産であることを理由に入会権の存在を否定する見解もないはけではありません。しかし、国有林野上の入会権は以前から存在していたものであって新たに設定するものではなく、また現に地元住民の利用を認めている以上、その林野は国の直接の行政作用とは無関係であるので、この規定は国有林野上入会権の存在を否定する積極的な理由とはならず、事実この理由で国有地上の入会権の存在を否定するものは少ない。

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