農村計画と公共施設

学校は単なる教育の場であるだけでなく、生活圏の中心施設として農村コミュニティにおける集会、文化、社会放育など広範な住民の社会生活に欠くことのできない重要な施設です。ところが、皮肉なことに、農村の人口減少と若年層流出の直接の影響を最も深刻なかたちで受けるのが教育施設です。幼稚園にはじまり小学校、中学校に及ぶ児童生徒数の滅少は地域人口滅少の割合をはるかに上回るものがあり、そのために統廃合して減っていく学校をみるとまさに破壊されつつある農村生活の象徴をみるおもいがします。しかし、児童数が滅り、財政が苦しいとはいえ、学校をあまりに機械的に滅らしてしまうと、農村は火の消えたようになって、コミュニティの崩壊や人口の流出は加速的となり、住民の心を支えていたものがなくなるおそれがあります。道路がよくなりスクールバスが通うことになれば遠距離通学の脳みは解消されるかも知れませんが、空屋になって朽ちていく校舎が住民の心をしぽますことは避けられません。

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小規模校型は、現状の小規模校のもつ家庭教育的雰囲気と人格形成上の利点を重視し、財政上の負担を別の形で解決しようというものです。学年1クラスでも存続させ、施設、教員の不足分は隣接施設相互に融通しあったり理科教育センターを設けたりして解決します。低学年校型は、小規模校のうち高学年だけを別に統合し、低学年は幼稚園または保育所を併設した形で残します。児童の徒歩通学限度の差と特別教室の必要性の差などを考慮した案で、小規模でも地域に学校が残るので望ましい。集中型は最も大胆な案で、農村集落の集中ないし大集落化なくしては学校問題の解決はないと考える立場をとり、農村の学校にも市街地なみの施設の充実を期待したものです。この形を集落移転なしで行なうと、スクールバスか自転車による通学という現在のスクールパス型のパターンになります。寄宿舎型は、東北、北海道などで冬期にみられる寄宿舎制をもっと高い恒常的な水準で考えたもので、すでに一部の学校で試みられていますが、現状では生活上の不安や寮母難などの点で小学校、特に低学年では難点があります。いずれにしても、教育施設の問題は、今後も衆知を集めて、地域の将来、固有な事情、住民の意向、財政、児童生徒の安全などの点から慎重に考慮した解決策を打ち出すべきものです。
農村地城における医療水準を高める問題は、かなり深刻なものとなっています。自治体や国保の経営する病院、診療所が人口滅と都市施設に患者を吸収されることで赤字をだし、医師、看護婦の確保の困難さと建物の老朽化がこれに拍車をかけるかたちで質の低下が問題となっています。同様に、増加しつつある老人を対象とした老人ホームや養護施設の整備もなかなか進展しません。しかし、教育施設と並んで医療施設の充実は生活環境整備の重要な柱で住民の生命の安全に関係する問題であるため、地域、地区の実情に通じたシステムで再編戊する必要があります。この場合にも、教育施設の場合と同様に、集落を集中統合してサービス圏内の人口を高めることはきわめて有効な手段ですが、集落の移転統合がそう簡単にできないとすると、出張所、巡回診療所を多く設けて要員の節約とサービス向上をねらうか、道路を整備して中心集落または市街地の施設に通いやすくし、救急車をおいて救急サービスを行なうなどの手段を構じる必要があります。
上下水道の普及や集落内非農家住民の増加などにより住宅からの排水の量は急激に増大し、また下肥を肥科として使用しなくなったことで屎尿の処埋が大きな問題となりつつあります。これらの問題については、従来の集落、自治体の枠をこえて広域的見地から回答を求めようとする動きが強く、汚水処理場、塵芥焼却場などが数カ町村の一部事務組合によって建設、連営されている例も多くあります。

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