農地の転用手続き

農地の転用には、農地の現在の所有者自身によって行なわれる場合(自己転用)と、転用のために農地の売買がなされて、その買主によって転用が行なわれる場合(転用売却)とかあります。どちらの場合にも、特殊な例外の場合のほかは、原則として都道府県知事の許可が必要です。もし許可をうけないで無断転用したときには、両方の場合ともに刑罰の制裁を科せられることがありますし、また転用売却は無効であり、買主は土地の所有権を取得できません。
なお、ある土地が農地であるかどうかの判断には微妙な場合がありますが、周りが住宅地でしかも農地として使われていないのような状況の土地であっても、耕作するつもりになればいつでも簡単に耕地として使用できるようなもの(休耕地)なら、農地として取り扱われます。林業種苗の苗圃、竹林(たけのこ収稀用)、栗林、桐林、わさび田、蓮池等でも、肥培管理が行なわれていれば、農地として取り扱われると考えた方がよいでしょう。また草地については、肥培管理をして牧草を栽培していれば農地となり、肥培管理はしなくても採草や放牧が主として耕作や養畜の事業のために肥料、飼料行なわれていれば採草放牧地となり、農地と同様に転用規制がありますが、肥培管理をせず、かつ採草が耕作や養畜と無関係なと苫(屋根ふき用・燃料用)は、農地でも採草放牧地でもなく、転用規制はありません。
自己転用でも転用売却でも、それを許可するかどうかは、農地転用許可基準によって判断されることになっています。これによると、農地を第一種、第二種、第三種の三つに区分し、転用は原則として第三種農地、第二種農地、第一種農地の順序によるよう努めるものとされています。つまり、第三種農地の転用は原則として許可となり第一種農他の転用は原則として許可にならないわけです。
第三種農地とはどういう農追加といいますと、土地区画整理事業施行地区内にある農地、ガスもしくは上水道の施設または下水道の整備している地区内にある農地、駅、港または市町村役場、区役所およびこれらの支所等の公共施設から至近距離にある地域内の農地、市街地の中に介在する農地、街路に囲まれた区画で、その区画の総面積に占める宅地面積の割合が40%を超えるもののうちにある農地、近く宅地化されることを相当として知事が法律に基づき指定した農地、などです。

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第一種農地、第二種農地、第三種農地の区分は、農地自体の性格から判断された区分ですので、転用を許可すべきかどうかを最終的に決定するためには、申請人ないし転用計画についての具体的な要件をも考慮しなければなりません。そこで農地転用許可基準では、第三種農地についての転用申請でも、一般的基準として掲げられている事項に該当しない場合は許可しないことになっています。この中で重要なものは、転用申請目的実現の確実性です。これをやや具体的にいうと、の申請者が許可を受けたのち遅滞なくその土地を申請の目的に供するものと認められること、申請目的の実現について法令等による許、認可を要する場合それがうけられる見込があること、申請目的の実現に必要な資金の調達等についてその見込があること、などです。
許可申請書を、市町村農業委員会を経由して、都道府県知事に提出しなければなりません。農地転用許可基準の説明からも推察される通り、この許可申請書には、転用計画、契約内容、離作補償、資金調達等について、かなり詳細な記載が要求されています。農業委員会が申請書を受理したときは、40日以内に、これに意見書を付けて知事に進達することになっています。なお、2ヘクタールを超える面積の転用であり、農林大臣の許可が必要な場合には、正式な申請の前に事前審査申立書を、農林大臣および地方農政局長に提出するようになっています。
転用の許可には条件をつけることができるので、例えば、転用目的を限定するとか、許可後一定期間内に着工しないときまたは完工しないときは許可を取り消すとかいうような条件がつけられることかあります。この場合、条件に違反し、許可が取り消されれば、許可がなかったことになります。ところが、転用のための売買では、買主が土地の所有権を有効に取得するためには、当事者間の売買が私法上有効であることと転用の許可があることとが必要なわけです。したがって、許可につけられた条件に違反したため許可が失効したり取り消されたりしたときは、農地の所有権は買主に移転しなかったことになります。そこで売主は、受け取った代金を返すとともに、土地の明渡および移転登記の抹消を請求することができるわけです。この結論は、その土地がまだ現に農地である場合には原則として正当でしょうが、その土地がすでに農地でなくなっている場合には、常にこの結論でよいかどうか疑問もあります。判例には、買主が、許 可条件に違反したため許可が無効となった後、事実上他の用途に転用した場合、転用によりもはや農地でなくなったのだから、許可がなくても買主は有効に所有権を取得しているとして、売主からの所有権確認および移転登記抹消の請求を認めなかったものがあります。
売買契約締結の後、許可がない間にその農地が無断転用された場合には、その転用によってその土地の現況が農地でなくなってしまうわけなので、そこでその時から非農地の売買となったと解釈できるとすれば、許可をうけなくても、買主は有効に土地所有権を取得できる、という考えもあります。判例では、売主の無断転用の場合に買主の移転登記請求を認めたものがあり、また買主の無断転用の場合、買主の移転登記請求を認めたものと認めなかったものとがあります。

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