山林立木と庭木の売買

山の樹木を、三年以内に全樹木を伐採、搬出するということで、一括して買うことにしました。この山の土地所有権は登記されていますが、樹本については別に登記はありません。この場合、買主としてどういうことに注意したらよいでしょうか。
山林の立木の売買は、立木所有者と素材業者や製材業者との間で盛んに行なわれております。立木所有者自らが伐採して売却することも行なわれますが、立木のままの売買の方が多いのです。そして、伐木の売買は、法律上は動産の売買と考えればいいわけですが、立木の売買については、立木が不動産、しかも土地と別個の不動産と観念されるところから、特殊の考慮を必要とするのです。本問の場合には、土地登記簿、立木登記簿を確認していますから問題ありませんが、必ず両登記簿を調べておかなければなりません。土地登記簿をみておかなければならないのは、売主が他へ地盤たる土地を売ったり抵当に入れたりしていますと、立木にもその処分の効力が及ぶことになり、これらの人に立木所有権の取得を対抗できないこ とになるからです。

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売主の所有権を確認しておかなければなりません。立木の所有者でないものを所有者と信じて買い受けても、動産である伐木の売買の場合と異なり、買主は保護されません。売主の地盤についての登記や立木登記、明認方法などを信じて取引しても同じです。なお、非所有者を所有者と信じて買い受けた立木を伐採したからといって伐木の所有権を取得できるわけのものでもありません。買主には、ただ、時効取得によって所有者となりうる途が残されているだけです。このことと関連して、売主が他人の土地に立木を植栽した者である場合には、判例理論によれば、無権原で植栽しているときはこれを立木所有者と考えてはいけませんし、また、権原をもって植栽した者であっても、その山林につき取引関係に入ってくる第三者より先にその権原について対抗要件を備えているか立本について明認方法を施しているかするのでなければ、安心して取引するわけにはいかないことになっています。なお、共有山林や入会山林の場合に、売主が立木の処分権をもっているかどうかをとくに調べる必要があることは、地付山林の売買の場合と同様ですが、とりわけ、分収造林が行なわれている山林の場合には、造林者と土地所有者のいずれが立木の売却権を持つかを確かめておくことです。
立木売買の場合には、樹種、樹齢、本数、石敷などについて、売主の主張と食い違いがないかをとりわけ十分に調査すべきですし、その上で、対象となる立木の範囲を現実に確定しなければなりません。確定方法としては、国有林の立木売買においては、例えば用材立木の売払の場合には、皆伐、間伐を問わず、売主たる国が売払立本の根際に山極印を押し、胸高または根際に番号を付し、間伐の薪炭村立木の売払の場合には、根際に山極印を押すなどの方法をとり、区域内の保残木については、胸高および根際に塗料を帯状に塗付し、かつ胸高に番号を付するなどの方法がとられていますが、私有林の立木売買においても類似の方法がとられています。
当該立木売買にどういう法律上の障害が伴うか、例えば、保安林であって伐採が禁止されていないかどうか、また、登記簿に現われない第三者の利用権の負担が存在しないかどうかなどを調べる必要がありますが、さらに、伐木搬出のための第三者の所有地に対する使用権の存否、内容なども調べておく必要があります。
立木売買においては、随意契約の方式によるほか、競争入札の方法も相当行なわれています。入札の方式によった場合にも、売買契約は、落札時ではなく契約書作成の時に成立すると解されています。契約書作成にあたって決定すべき事項は、地付山林の場合とだいたい同じですが、慣行を考慮しながら問題点を指摘しておきましょう。
まず、立木売買の手付の役割は、はっきりしませんが、民法の解約手付というよりり、むしろ、固有林立木売買の際の保証金に似た役割をもたせている場合が多いかと思われます。つまり、契約成立の証拠となるとともに、買主債務不履行の場合の違約金の最低限を担保する役割を果たしているように思われます。もっとも、手付にどういう役割をさせるかは、契約で定めていいわけです。
次に、履行方法のうち、買主の代金支払については、代金の一割を手付として交付し一ヵ月後に残額か二括支払うとか、五対五の比率で契約締結時と半年後との二回に分割して支払うとか、三対同封三の比率で一ヵ月毎に三回に分割して支払う、というように定められます。これに対して、売主の立木引渡の時期、その方法、伐採着手の時期などについては、明確な取決めのない事例が多いようです。これは、そもそも引渡ということが所有権の移転と別個の行為として観念されておらず、代金を完済すれば、そこで所有権が移り伐採ができることになるのだ、というように単純に考えられているからです。しかし、法律的処理を明確にするために、やはり、以上の点を契約で定めておくべきでしょう。
担保責任については、特に数量不足、物の瑕疵などに対する担保責任を負わないと定めている事側か多いようです。立木売買では、買主注意せよの考え方が支配しているわけです。また、危険負担については、引渡時期が不明確なため、民法にいわゆる危険負担と同視してよいかどうか問題ですが、搬出前に不可抗力で立木が滅失、毀損しても売主は責任を負わないと定めている例が多いといえます。そのほか、伐採、搬出の期限、伐採方法、伐採跡地の処理などを定めておくべきです。伐採、搬出の期限については、本問では三年と定められていますが、加えて、搬出が期限までに終わらないときに立木所有権は売主に復帰することになるのか、猶予が与えられるのか、与えられるとしてその条件いかん、などを取り決めておくべきです。

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