農業労働

生物の生化学的反応は種類により、場所によって異なっているため、農業生産のノウハウは原則として個別的であるとみなくてはなりません。農産物の増産を試みる場合、この個別性が強調されてくることがあり、そのために農業生産はますます機械化の可能性を失い、労働集約的になってきます。農業経営がしばしば零細で、労働集約的であるのは、その歴史的背景を別とすれば、生化学反応の季節性と個別性に由来しているようです。

スポンサーリンク

農業生産における技術進歩は季節性の克服と個別的ノウハウの一般化を目指しているということができます。高収量品種の選別、生物栄養の解明、病虫害の防除などは、広範囲な地城に通用可能な方向で開発され、装置的固定資本によって造成された共通の生産基盤の上に通用されています。このことは省力的固定資本、つまり機械の開発、適用を一層容易にしていきます。それとともに、一般性の高い農業インプットの開発は、農業以外の部門におけるその大量生産を可能にします。これは農業の生産費を低下させるとともに、農業労働をその自給生産から解放します。同じことは農業のアウトプットにもいわれます。一般性の高い農法の採用は農産物の現格化を容易にし、その大量取引、大量加工などを農業以外の部門で可能にします。これまた農業労働を農産物の自家処理から解放するのです。
この結果、農業と他産業との関係がそれだけ密接になり、農業は良い意味でも悪い意味でも、経済全体の影響をそれだけ敏感に受けるようになります。それと同時に,農業の側の変化も関連産業を通して、経済一般に影響を与えていきます。とくに資源や公害の問題からくる現代農法の行き詰りはただに農業だけの問題ではなく、国民生活に重大な効果を与えていくこととなります。
農業生産は様々な問題を抱えながらも次第に増加してきましたが、日本におけるその動向は、農業生産は戦前1.0%強、戦後2.5%の年率で成長してきました。しかし、戦後の農業生産は経常投入材の部分が増加し、それだけ付加価値率は低下しているため、付加価値額の成長率は戦前と戦後で、平均していずれも1.0%弱で、大差がありません。ただし、戦後は農業就業人口が戦前より一旦増え、それから滅少しているため、農業就業者1人当たりの付加価値額は、戦前より高い成長率を示しています。
農産物の作物別構成比については、今日でも米のウエイトは決して低くはありません。麦類、豆類、イモ類は戦後一旦増加したものの、雑穀とともに滅少の傾向を示しています。野菜類は果実類とともに、戦後増加していますが、根菜類は滅少しています。そのほかの特徴としては、戦前栄えた養蚕の割合が戦後低下し、代わって畜産物が急増していることがあります。

田舎暮らし

農業生産/ 土地と改良/ 省力的固定資本/ 経常投入材/ 農業労働/ 限り有るエネルギー資源/ 農業工業化とトウモロコシ/ 栄養水準の向上/ 食品組合せ/ 個人消費支出/ 食糧費の内訳/ 食生活と家族/ 食糧問題と農業問題/ 所得格差の是正/ 農産物価格の不安定性/ 農業安定化対策/ 農家の主体性/ 食品流通/ 小売卸売業/ 食品工業/ 食品工業の中小企業性/ 水産業の需要ギャップ/ 水産の規模別格差/ 水産資源の確保/ 農産物の輸入制限/ 食糧自給率/ 農業政策の影響/ 総合自給率/ 食糧貿易/ 世界の食糧展望/