限り有るエネルギー資源

農産物の生産には多くのインプットがなされています。それらは大きく分けると、土地、労働、固定資本、経常投入材ですが、土地を除いて他のすべては何らかの意味でエネルギーに換算することができます。労働投下量はいうまでもありませんが、固定資本でも役畜や農業機械の稼働ばかりでなく、機械そのものや建物や施設の生産にもエネルギーが投下されており、動物および植物資本の形成にもエネルギーが投下されてい ます。経常投入材においても農薬、肥料の撒布や播種、給餌という農作業ばかりでなく、農薬、肥料、種子、飼料の生産そのものにもエルルギーが投下されています。さらには農業や肥料や諸資材のように、その原料が石油のようなエネルギー資源を使用する場合があります。他方では土地そのものは、確かにエネルギーに換算することができませんが、太陽光線や風雨のように直接的ないし間接的に太陽エネルギーを受け入れる場になっている場合もあります。

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以上のような観点に立つと、農業生産のインプットは大部分がエネルギーで表現することができます。しかも、そのエネルギーは何らかの意味で太陽エネルギーと関係を持っていますが、その場合区別しておくべきことは、その供給は限界のあるものとそうでないものとがあるということです。もっとも、天文学的な時間のなかでは太陽も有限といえますが、人間的時間のなかではこれを一応無限と考えれば、太陽光線や風雨は枯渇しないエネルギー資源として、日光の直接利用はもとより、水力、風力、潮力による発電なども枯褐しないエネルギーを供給するものです。これに対して、石油、石炭、薪などはその形成過程が太陽エネルギーに負うところが大きいとしても、一旦形成されたものを使用すれば、やがては資源的に枯渇してしまうのであって、それを再び生産するには、今のところ膨大な時間がかかりとても間に合うものではありません。石油や石灰などの化石燃料は、とくにその可能性が強くなっています。
しかし、化石燃料は取り扱いが便利であり、農業生産に与える効果も高いのに反して、自然力に依存するエネルギーはいまのところその利用に大掛りな施設を必要とし、利用効率も低く、ここに化石燃料、特に石油にエネルギーや原料の大部分を求める農業インプットの開発が展開し、品種改良をはじめ、農法全体がこれに適応するように改良されて、今日の高い農業の生産性に到達したわけです。いうならば農業の技術進歩とは効率の悪い自然力依存型のものから効率の高い化石燃料依存型、つまり農業へ工業論理を導入することであったということがいえます。

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