食品組合せ

経済発展が1人当たり国民所得を増加させ、これを前提にして社会は近代化していきますが、これと対応して食生活にも変化が進行していきます。食生活の変化を現象面にだけ着目してみるならば、穀類、豆類、野菜類を中心にした伝統的なメニューから、穀類、豆類の割合を滅らして、砂糖類、油脂類、野菜、果実、それに動物性食糧を増やす方向へ多様化していく傾向が認められます。この多様化は、たんに食糧原料の種類を増加させるばかりでなく、同一原料からつくられる加工会品の種類の増加を含んでいると考えるべきです。また、食品の原料、製品の種類増加が社会生活の多様化、特に都会化のなかで展開される場合、流通面に複雑な間題を提起してくることになります。食生活の近代化が農業と水産業の選択的拡大を促進するばかりでなく、食品工業や食品流通業の膨張をもたらす必然性を含んでいる理由もここにあります。

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食品消費は元来、栄養採取を最優先の目的にしているわけですが、食生活の近代化が理想的栄養状態を実現するという考え方には疑問が残ります。少数種類の食糧から栄養をとるとすれば、栄養的に偏倚をもたらす可能性があるため、食生活を多様化した方が栄養のバランスを維持することができると考えられます。また食品が多様化する過程で、各食品は特定種類の栄養に特化する傾向があります。砂糖類は熟量に、油脂類は脂肪に、野菜、果実は徴量栄養素に、動物性食糧はタンパク質にそれぞれ特化するといった具合です。特定種類の栄養に特化した食品は、その方向を押し進めることによってその栄養の吸収率を上げることができます。
このように考えていくと、食生活の多様化は理想的な栄養を実現するための合理的な傾向であると判断されます。しかし、実際には、人間が多様化した食品を選ぶ場合、必ずしも理想的な栄養を保つようになされず、栄養のバランスを崩すような状況が発生し、食生活の近代化は偏食や文明病の原因であるとさえいわれることもしばしばあります。
したがって、食生活の近代化は食生活の合理化とつねに一致するとはかぎりません。理想的な栄養を実現する食品の組合せは無限にあり、その組合せのなかには、今日われわれがもっている多様化したものもあれば、それほど多様化せず、過去の穀類、豆類、野菜類だけで十分その目的を達するものも含まれているにちがいないのです。
食糧消費という現象は複雑多岐であって、それを規定している要因は種々雑多です。人間は食糧消費をする場合、その食品の組合せは、同水準の栄養量を摂取するとしても、ほとんど無限にあるにちがありません。しかし、経済合理性をもつ人間なら、その無限の組合せのなかから、最も安上りのものを選択しようとします。つまり、栄養所要量に対して、最低費用のメニューを選択することが、会生活の合理化の最も単純な原理です。この原理に基づく選択は、これを満たす条件さえ与えられれば、線型計画法によって容易に計算することができます。

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