食糧費の内訳

栄養的観点から食糧消費を見てみると、穀類またはデンプン質食糧や豆類のウェイトの低下、砂糖類、畜産物、油脂類の消費の上昇という現象が認められます。この原料段階に近い形での食糧消費の傾向は、これに経済的価値を付与してみると、栄養量単位当たり価額の増加という形でとらえられます。そのうえ、三大栄養素に関してはあまり重要でない野菜や果実は、徴量栄養素の供給品目として、この点で相対的に高い価額をもっていることは明らかです。このような事実を家計費のなかの食糧費としてとらえると、主食割合の低下、副資および嗜好食品の割合増加ということになります。特に嗜好食品の割合増加は経済的価値と栄養的価値とを著しく分散させるようです。家計調査での5万人以上都市のデータによると戦後の品目構成は肉類、乳卵類の比率増加が著しく、魚介類、野菜類、乾物、海藻類、加工会品はほぼ横ばいです。野菜類は内容的には変化していますが、全体としてはあまり変わらりません。調味料は味噌、しょうゆの減退もあって、その構成比も低下しています。

スポンサーリンク

戦前と戦後とを直接比較することはできませんが、安定期の昭和6年あたりと戦後の食糧難を脱脚した昭和33年とを比較してみると、主食割合は変わっていませんが、米食率は戦後のほうがすでに低くなっており、またパン食比率は高まっています。副食割合が畜産物を中心に戦後拡大していることは予想通りです。嗜好食品と外食の割合は昭和33年ではまだ戦前の割合より低く、農家の場合米の消費割合は戦前から戦後にかけて一貫して低下しています。その他のデンプン質食糧や豆類なども同様です。野菜および乾物類はほぽ横ばいです。調味料、酒類は戦後その割合を低下していますが、戦前もそれほど高くありませんでした。戦後、比率を上昇させているものは、魚介類、肉乳卵、加工食品、嗜好食品、外食です。魚介類は都市にあっては、ほぼ横ばいでしたが、農家では上昇しており、昭和47年でも畜産物より高い比率を示していました。都市では昭和33年にすでに畜産物の比率のほうが魚介類のそれを追い越しています。
嗜好食品の内容は生鮮ものの果物を除けば、すべて加工食品です。したがって、嗜好食品の割合増加は加工食品の割合増加でもあります。副食についても似たような結論を下すことができます。狭義の加工会品はもとより肉類や乳製品は加工食品の形で消費する場合が多く、さらに主食でもパン類、麺、餅類は加工食品です。そうすると、食糧消費の傾向を品目構成の立場ではなく、加工度の立場から考察することも可能です。原料費が一定なら加工度が高まれば、一般にその食品の生産費が高まるために、栄養量単位当たり個額の増加という事実とも一致することになります。内容も嗜好食品や欧風副資品の割合が増加し、在来副食品の割合を蚕食しています。しかし、加工食品の定義は非常に難しく、食糧を低温に保存することも、食糧を加熟することと同じくらいに、加工がほどこされているとみなくてはなりません。そうすると、冷食の野葉や魚介類も加工会品でなくてはなりません。家計調査はそのような分類を欠いています。また、食糧の形態を変化させることが加工なら、その位置を変化させることは流通です。位置の変化が広く複雑になれば、流通費も加工費と同じくらい、食料費を高くさせることになります。栄養量単位当たり価額は流通の高度化からも高くなってくる場合があります。そのうえ、冷凍食品のように、加工と流通が不離一体の関係で発展していく傾向にあります。この点は、家計調査では十分にみることはできませんでしたが、留意すべき事柄です。
今日は外食率は非常な勢いで増加しています。しかも、外食費の把握は家計調査のなかて最も困難な項目で、脱落することが多いため、現実はここに示された以上だろうと思われます。外食は調理、場所、その他のサービスを食糧と一緒に購入することになるため、一般的には家庭内の食糧消費よりは高くつくと考えられます。したがって、栄養量単位当たり価額を上昇させる要因がここでも増えることになります。

田舎暮らし

農業生産/ 土地と改良/ 省力的固定資本/ 経常投入材/ 農業労働/ 限り有るエネルギー資源/ 農業工業化とトウモロコシ/ 栄養水準の向上/ 食品組合せ/ 個人消費支出/ 食糧費の内訳/ 食生活と家族/ 食糧問題と農業問題/ 所得格差の是正/ 農産物価格の不安定性/ 農業安定化対策/ 農家の主体性/ 食品流通/ 小売卸売業/ 食品工業/ 食品工業の中小企業性/ 水産業の需要ギャップ/ 水産の規模別格差/ 水産資源の確保/ 農産物の輸入制限/ 食糧自給率/ 農業政策の影響/ 総合自給率/ 食糧貿易/ 世界の食糧展望/