食品流通

消費者が食品を購入する場合、それが日常的な繰り返し行動であり、かつ食品の重さのために運搬もけっして容易ではありません。したがって、購入先の決定は食品の安さより、そこまでの距離の近さに依存することになります。しかし、これを食品小売業の側からみると、近距難から集まる顧客の数はあまり大きなものでないため、大量販売は不可能で、零細経営の発生する素地となります。そのうえ、食品は保存のわるいものが多く、デリケートな嗜好にうったえる商品で、栄養上の細かい配慮が必要です。また魚屋のように、ある程度の店頭加工のなされる場合もあり、労働集約的になりやすく、これらの点も食品流通業に零細経営を温存させる原因になります。

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食品工業や農業、水産業にも零細企業が多く、このために食品小売業とこれらとを結ぶ卸売業の役割は重要になってきます。しかし、食糧が広い地域で生産され、その生産が気象の影響を受けやすく、そのうえ食糧の保存性がわるいとなると、卸売業の経営規模もあまり大きくできないことにります。食品小売業および卸売業が、以上のような理由で規模拡大が困難だとすると、大量仕入れなどによる規模の経済の働く余地が少ないため、労賃の上昇は食品流通業において食品価格を押し上げる原因になります。これにに対して種々の打開策が講じられ、流通革命が進行中です。
生産者から小売店にいたるまでの食品流通業といっても、それは米穀、生鮮食品、加工食品の別によって仕組みが異なっています。つまり第一の米穀は、食糧管理制度によって統制されており、独自の仕組みがあります。第二の生鮮食品は、保存性能が劣弱で、標準化、規格化が困難であるため、大量の現物を1カ所に集め、それを前にして短時間で取引をすませる市場 方式が主流になります。第三の加工食品は、商品によって差はあるものの、生鮮食品に比べれば保在性能に勝り、標準化、規格化が進んでいるので、卸売商方式が中心になります。
米穀の流通管理機構は政府が農協等指定集荷業者に集荷させ、政府指定倉庫に保管したうえ卸売業者を通じて小売業者に売渡す配給米の経路と、政府を経由しない自主流通米の経路とがあります。自主流通米の制度は昭和44年産米から開始され、当初は年間86万トンでしたが、48年産米では263万トンと米穀流通量の32%に達しました。また米穀流通に占める農協系統のシュアは高く、47年度産米では配給米で94%、自主流通米で96%となっています。
生鮮食品には卸売市場を経由する市場方式と、生産者と需要者が直接取引する産地直結方式などの市場外流通とがあります。生鮮食品といっても、青果物、水産物、食肉によって流通経路は若干異なります。また加工会品はメーカーから一次卸、二次卸、場合によって三次卸を経て小売業者に売渡されます。
農産物の生産単位は零細であるため消費地向けに出荷する場合は各生産者の荷を集め、分類し、荷口をまとめる必要があります。その機能の担当者としては、個々の生産者、生産者の組織である集出荷同体と産地出荷業者がありますが、農林省の調査によると果実については生産者団体の出荷割合が61%と高く、肉豚については29%と低くなっています。野菜は両者の中間で、生産者団体が39%を占めています。
卸売市場には大都市に開設され、規模の大きい中央卸売市場と零細な地方卸売市場とがあります。昭和46年、中央卸売市場法が廃止され、地方卸売市場をも対象とする卸売市場法が新たに設定されました。この趣旨は、第一に中央卸売市場における取引面を改善して取引、価格の安定と強壮条件の整備を図ることにあります。このため市場卸売業者による買付販売、予約相対取引による生協、スーパーマーケット等の大口需要の計画的な組み入れ、卸売業者の規模拡大、大型小売店の売買参加機会の増大などが図られることになりました。第二の趣旨は、卸売市場に各産地の荷が円滑に流れるように地方卸売市場の統合整備を含めた全卸売市場の適切な配置を図ることにありました。生鮮食品の全国流通に占める中央卸売市場の地位は水産物で約6割、特に生鮮品で8割弱、青果物で約4割になっていますが、食肉は1割強にすぎません。食肉流通では間屋流通が主流で、市場方式はこれのバイパス的な地位にあります。

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