小売卸売業

飲食品は典型的な最寄り品といえ、総理府の調査によれば、ふだんの食品購買圏は徒歩10分以内が6割を占め、20分以内になると3/4に達します。買回り商品の性格が強い衣料品の購買圏は、乗物で10分から30分の場合が4割占めています。したがって飲食品小売業の市場圏はきわめて狭く、販売量の拡大は容易ではありません。生鮮食品に関しては消費者は値格よりも品質を重視して店を選択し、一度決めたら固定的に同じ店から購入する傾向が強くなっています。したがって小売店側の顧客獲得手段として価格競争の有効性は制約され、それよりもむしろ品質、品揃え、衛生等に力が注がれます。特に調理サービスの要求が強い食肉や鮮魚では、これに必要な熱練労働力の確保が重要な問題で、販売量の拡大を困難にしています。これに反して加工食品は、規格化や包装の標準化が進んでおり、調理サービスを必要とせず、消費者は商品の選択が容易で、特にブランド製品はどの店で買っても品質は一定しています。したがって、小売店側としては生鮮食品の場合よりは価格競争が有効になり、セルフサービス方式の大型小売店の競争力は生鮮食品よりも加工食品において強く、また加工食品のなかでもナショナルブランド製品の場合は、寡占メーカーによって流通支配が行なわれる傾向があります。

スポンサーリンク

卸売業には集荷、品揃え、物的流通、分荷、需給安定、価格決定、金融、情報の収集伝達など様々な機能があります。これら機能の重点は業種業態によって異なりますが、食品卸売業には卸売市場の仲買人などの生鮮食品卸売業、食品工業の原料農水産物の卸売業、加工食品の卸売業があります。加工食品の卸売業についてみると、これには一次卸と二次卸または三次卸があります。一次卸は1社または比較的少数のメーカーから商品を仕入れて二次卸へ売渡す分荷機能を中心としており、実質的にはメーカーの販売部門または代理店であるものと独立のものとがあります。二次卸または三次卸の機能は多種多様な商品の品揃えと小売店への小口分散で、食品の場合、小売店が必要とするロットが零細なためその存在理由があります。
通産省の商業統計で資品卸売業の現状をみてみると、一次産品を取り扱う農畜産物、水産物卸売業と加工会品を取り扱う食糧、飲料卸売業とは合算して卸売業全体の商店数で25.9%,従業者数で20.3%、販売額で17.6%とかなりの分野を占めています。
産地直結の一般的な形態は単位農協との取引ですが、全国農業協同組合連合会の消費地生鮮食品センターを利用する取引もあります。単位農協との取引は取扱い品目が限定され、全国農業協同組合連合会との取引はこれに比べれば品揃えは豊富になりますが、それでも中央卸売市場には匹敵せず、また取引価格の決め方が多くの場合、中央卸売市場相場を標準とするために、価格の不安定さは市場方式の場合と大きな違いがないという難点があります。しかし一方で、産地直結には需要に関する情報が生産者に直接伝えられ、商品の流れが計画化されるというメリットがあります。インテグレーションはこのメリットをさらに押し進めたもので、単なる売買契約だけではなく、農外企業が農業者に種子、種畜、飼料を提供したり、さらにはみずから農場を経営する方式もみられます。
加工食品卸売業については、メーカーやスーパーマーケット、百貨店、生協など大型小売店の進出とすでに述べた小売店みずからの組織化という問題があります。食品加工企業の生産体制の整備、商品の均一化、ブランド化が進展し、マスコミ広告による事前販売という販売機能が確立されると、メーカーみずからが系列の販売代理店を通じて商品を販売し、流通機能における主導権を奪って流通を支配するようになります。一方で大型小売店もチェーン化によって商品販売におけるシェアが拡大すれば、卸売業の地位は相対的に低下するとともに、メーカーと小売店が直結することにもなります。
加工食品卸売業にはこのような新たな競争条件の出現を背景に、大手問屋と地方問屋の縦系列の提携、地方問屋同志の提携、合併など業界再編成の動きがあります。これらは流通ネットワークの整備、流通コストの低減等による体質強化を目指していますが、一方で一次卸には特定メーカーの販売会社となって機能をもっぱら配送に限定するものや、豊富な品揃え低能と効率的な物的流通機能によってチェーン店と取引し、あるいはみずから中核となって二次卸のボランタリーチェーンを組織化するものがあります。また二次卸には、魅力ある品揃え、情報、物的流通機能を整備し、これを背景に小売のフランチャイズチェーンやボランタリーチェーンを主宰するものがあります。

田舎暮らし

農業生産/ 土地と改良/ 省力的固定資本/ 経常投入材/ 農業労働/ 限り有るエネルギー資源/ 農業工業化とトウモロコシ/ 栄養水準の向上/ 食品組合せ/ 個人消費支出/ 食糧費の内訳/ 食生活と家族/ 食糧問題と農業問題/ 所得格差の是正/ 農産物価格の不安定性/ 農業安定化対策/ 農家の主体性/ 食品流通/ 小売卸売業/ 食品工業/ 食品工業の中小企業性/ 水産業の需要ギャップ/ 水産の規模別格差/ 水産資源の確保/ 農産物の輸入制限/ 食糧自給率/ 農業政策の影響/ 総合自給率/ 食糧貿易/ 世界の食糧展望/