食品工業

食品加工は食品原料を食用可能なものにすることです。これは食品原料を人体に受容可能なものにすることから、快適さ、便利さを提供することにいたるまでの広い活動です。この話動には少なくともふたつの困難があります。ひとつは、腐敗性の高い食品原料が、生産において気象や地域の影響を受けているため、集荷や貯蔵に費用がかかり、また技術的にもその問題は十分に解決されていないということです。もうひとつは、食糧が直接人命と関係し、しかも嗜好というデリケートな要因の支配を受けるということです。これらは化学的処理による食品加工の機械化を難しくし、食品加工が労働集約的にならざるをえない原因となっています。

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食品加工が企業化されるためには、ます食品原料および製品の保存性がたかめられなければならず、保存性の向上はやり方によっては、薬品を使って食品公害の原因へ発展する危検性を含んでいます。嗜好が規格化されやすいとか、生産過程が単純化ないし単純な部分に分節されやすいとか、そういう場合には、機械化は容易ですが、食品加工は必ずしもその条件を備えていません。また一定の嗜好に合わせて食品を規格化し、その機械生産を完成してみても、嗜好そのものが変動すると、せっかく確立した機械生産は無駄になってしまう場合もあります。保存と機械化の難点が十分に克服されていなければ、規模拡大を行なってみても、労働集約的な零細経営と収益性はあまり変わらないことになります。食品工業は、大規模経営と零細経営とが併存できるという意味で、二極集中型産業といわれますが、その理由は以上のような点に存在すると思われます。労賃や原料の価格が上昇するなかで、このような産業構造は規模拡大の利点を十分生かすことができず、食品価格を押し上げる原因となります。
食品工業は製造業のなかでも一大産業分野を形成しています。また食品工業の出荷額の推移をみると、所得水準の向上に伴って順調な成長をみせています。ただ全製造業の出荷額の伸びは、経済の高度成長の結果食品工業のそれを上回っているため、製造における食品工業の地位は随時低下傾向にあります。加工食品の増加といってもその内容は一様ではありません。食生活の欧風化に伴って畜産食品が伸び、またレジャーの増加を反映して嗜好食品の消費が急増する一方で、でん粉質食品の伸び悩みなどがみられます。またインスタント食品など簡便な食品の増加や、外食機会の増加等に伴う業務用需要の増加なども加工食品消費で、食品工業の個々の業種についてみると、このような加工食品の需要構造の変化に伴い、成長性にかなりの格差がみられます。
日本の食品工業は、原料の自給率は低いのですが、製品の自給率はきわめて高く、これは食品工業製品が保存性、輪送性の面で概してして問題があり、原料は輪入するにしても、製品は国内で生産するという構造になっているためです。
食品工業の成長性とその業種間格差は以上のとおりですが、昭和47年の異常気象特に49年の石油ショック以隆このパターンと逆行するような現象がみられるようになりました。このような現象が実質所得の低下などに伴う短期的な現象か、あるいは節約ムードの定着など長期的、構造的なものか、食品工業にとってはきわめて重要な問題です。

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