水産の規模別格差

水産の規模別生産比率は捕獲頭数の制限もあって、近年は減少しています。これ以外では、大規模漁業のシェアの増大が目立っています。浅海養殖も含めた沿岸漁業は停滞気味なのに対して、中小漁業はシェアの滅少傾向を示しています。なお、内水面の養殖漁業は比率は小さいのですが増加しています。沿岸漁業の大半は漁船漁業ですが、昭和35年からみれば滅少しています。また、無動力船の割合が滅り、動力船の割合がどの層も増加しています。浅海養殖は年々増加していますが、いまのところ大半はノリ養殖です。しかし、他の魚類についても、次第に養殖がふえてきているようです。中小、大規模漁業は規模は大きいのですが、経営体数は少なく、全経営体数の4%ぐらいです。中小漁業は結局、沿岸漁業のほうへ下降してゆくか、さもなければ大規模漁業のほうへ上昇せざるをえない分解の運命をもっています。水産物の産地価格を規模別に分けてみると、いずれの規模でも生鮮向け素価格が高く、加工向け価格が低くなっており、沿岸漁業は漁船にしろ、養殖にしろ、生鮮向けの高級品に焦点をしぽって生産すれば、経営はある程度成立するのです。これに対して、中小漁業には現模の経済が働く余地が大きく、したがって大規模漁業を志向せざるをえないこととなります。

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昭和48年における漁業経営体の組織別構成は、個人経営体が圧倒的に多く96.8%を占めており、会社経営が0.9%、共同経営が2.0%、その他の経営が0.3%となっていましたが、近年の傾向としては個人経営体の比率が低下しているのに対し、沿岸漁業の共同経営体の増加が目立っています。沿岸漁業はいわゆる零細企業であるため、水産業だけで自立できず、農業と同じく、兼業化がなされています。しかし、水産物価格の高騰もあって、漁業依存度は最近それほど滅少していません。中小漁業は昭和37年昨点で規模の格差は、あまりはっきりとは認められませんでしたが、40年代にはいってくると、一応規模拡大が生産性向上のひとつの決め手となります。それを借入金でまかなおうとすると、企業としては資本制限があり、規模拡大に経営能力上の限界があります。大規模漁業の売上高は年々増加していますが、その部門構成は必ずしも安定しているわけではありません。漁業部門の構成割合は時間的に滅少していて、そのかわりに商事部門が拡大しつつあります。
水産業の生産指数は、製造業よりは低い伸び率ですが、農業よりは伸びています。昭和36年から45年にかけては水産業と農業はほぼ同じテンポで推移していますが、45年以降は農業が停滞しているにもかかわらず、水産業は鉱工業とほぼ同じ伸び率を示しています。水産業の純生産額と就業者との全産業に占める比率は、滅少傾向を示しています。ただ純生産額のほうは、水産物の個格上昇に支えられて、滅少ぶりが多少緩やかです。労働生産性についてみると、水産業は製造業とほぽ同じ水準にあり、農林業よりはかなり高い水準にあります。昭和36年から48年にかけての生産性の伸びについて、他産業と比較すると、水産業は最も高い伸び率を示していますが、これは水産物の価格上昇が大きく寄与しているからです。実質ベースでみた労働生産性で比較すると、水産業は農林業よりも低い伸びにとどまっており、製造業に比べるとかなり差があります。水産業の生産性を規模別にわけてみると、中小、大規模漁業は平均の2倍、沿岸漁業は平均の半分の値です。就業者は80%が男性ですが、その比率は近年は落ちてきています。男子の年齢構成は40歳以上の割合を上げてきており、漁業就業者の高齢化が進んでいます。

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