水産資源の確保

水産業は農業と同じく、自然を直接の対象としながら、農業の土地に匹敵する概念を分析へとり入れることがありませんでした。しかし、そのような概念は水産業に存在していないのではなく、分析の段階で、把握が困難であったまでのことです。実際には漁場という概念があり、農業の土地と同じくらいに重視されてきたのです。漁場とは水産資源の生育する環境を、水産業の側からみた概念で、その諸活動を成立させる場のことです。したがって、漁場は水産資源の豊富さと密接な関係をもっていると考えられます。

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これまでの日本は、17世紀以未の海洋自由時代の公海自由の原則にのっとった漁業の自由と国際海峡の自由航行の恩恵を受けてきましたが、第三次国連海洋法会議において、領海12カイリ、経済水城200カイリの設定がされ、漁業の問題にとどまらず、経済面政治面でも重大な局面に立たされています。第三次国連海洋法会議は、1970年の前半、国連総長が1973年中に開催することを打診し、国連総会で採択されてスタートしたものです。この海洋法会議は、1973年のニューヨークにおける組織会期を皮切りとして、74年度のカラカス会議に引き続き、75年春のジュネーブ会議が第三会期になっており、参加国は140カ国に及んでいました。そもそも海洋に関する国際的問題は、1945年のトルーマン宣言を契機に大きく動き出しました。1958年ジュネーブにおいて第一次国連海洋法会議が開かれ、海洋秩序についてトルーマン宣言の国際的合意が成立しました。続いて1960年の第二次海洋法会議中にいたりますが、ここまでの会議は、先進国の利益の維持を目的とするものであり、米ソの対立がからんでいました。ところが第三次にいたり、多数派で団結力が強い開発途上国グループの台頭により、新しい秩序への転換が現実のものとなりつつありました。外国沿岸200カイリ内での日本の漁業についてまとめてみると、この調査時点において、総漁獲量の45%を占めることになり、海洋法会議における経済水域の設定強化は、日本の漁業に重大な影響をもたらすことになりました。
日本の急激な工業化は治岸を汚染し、略奪的漁法は種苗を滅少させたので、沿岸の水産資源は枯渇し、漁場は壊滅しつつありました。漁業被害は近年激増しており、なかでも赤潮による被害と油濁が日立っていました。赤潮は全国の浅海内湾域に発生しており、その溝成するプランクトンの種類、発生範囲、継続期間等多種多様であり、養殖はまち等の水産物に多くの被害を与えていました。赤潮発生の基本的要因は海域の富栄養化にあります。これを回避する道は漁場を人間の管埋のもとにおくことです。漁場が人間の管理下にあれば、やがて水産物需要に見合った生産計画をたてることもできるようになります。
外国も水産資源を重視し始め、これが領海に関する意識の目覚めとも一致して、日本の漁業は多くの制約を受けるようになっています。しかし、これも水産資源を長期的に確保しようとする努力の現われとみなくてはなりません。漁場を人間の管理下におき、思い通りに操作できるためには、養殖にみるように、水産物の生育に通じた環境造りと種苗の計画的放流が必要であり、そのためには漁場の調査やら水産物の研究などにも、これまで以上の努力が払われねばなりません。

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