地主が小作料を受領しないときは

 Aさんは、郊外に三〇アールの自作地と二〇アールの小作地を経営しています。ところが、最近、住宅がどんどん建ってきて、地価が三・三平方メートルー〇万円以上にも騰貴してきましたた。
 近所に住む地主は、Aさんが作っている小作地を、アパート経営者に売りたいと考えているが、以前にAさんと小作の文書契約をしているので、どうにもなりません。
 もっとも、よもやま話の末、株で損して生活が苦しくなったから、折をみて、Aさんに貸してある二〇アールの土地を売りたいから協力してもらいたいとの話があったが・・・

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 Aさんは、一〇年契約の切れ目のどきがあぶないと警戒していたところ、昨年の暮に、Aさんの奥さんが、小作料を地主のところへとどけに行ったとき、あと二、三年の期間だから、ただでもよいといって、どうしても小作料を受け取ってくれません。Aさんは、地主の腹が読めないので、農業委員会の書記にどうしたものかと相談してみました。
 「そりゃ、小作契約をこわして、早く売りたいのかもしれない。このままだと契約のきれる期日の一年前から六か月前までに、地主から期限後は貸さないという通知をする。一方で転用許可願を申請しなければ売る段どりにならないから、三年後の話だ」という返事でした。
 もし小作料を滞納したと解されると、期限到来前でも、信義に反したという理由で、小作契約をこわされるおそれがあります。農地法では、契約満期の更新拒絶は知事の許可を要しないので、これは致し方ありません。
 地主にとっては、小作料をただにしたところで、たかが一〇アール当たりでも三〇〇〇円ぐらいであるから、これで小作契約がこわせるなら、こわして売った方が、けるかに得ということになります。
 したがって、恩にきせたようにみせかけて、よく使う手ですが、小作人も、その手にのらぬよう、どうしても小作料を受け取らないときは、供託しておく必要があります。
 供託というのは、法務局、地方法務局、その支局、または出張所の供託課の窓口で手続きするのです。いまは供託所の窓口で供託用紙を無料でくれるし、 またその書き方については、どこの窓ロにも雛型が備えつけてあるので、だいたい素人のひとでも書くことができますが、わからなければ、そこにいる司法書士に書いてもらえばいい。
 そこで供託の手続きが済めば、それが弁済供託となって、本人に対して支払ったと同じ法律効果が発生するのです。ただし本人に対しては、供託所が還付してくれる供託用紙の一枚を送達しなければなりません。一枚は保存用にとっておくことになります。

田舎暮らし

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