請負耕作契約

請負耕作契約とは、農作物の生産工程に関わる作業の全部または一部の完成を請負い、その作業の完成に対する報酬をうけることを約する契約です。農作業の一部を請け負うものを作業委託、全部を請け負うものを全面委託ということがあります。農作業の一部の請負いが生じる背景としては、一時的な労働力不足や、機械の導入による作業の効率化が考えられ、特に大型機械による作業の効率化による恩恵をうけることを目的とする良作業の一部の請負は、農業生産性の向上につながるもので、農地法の趣旨の一つである自作農の振興を図るものともみられ、農地法上の間題が生じることは、ほとんどありません。しかし農作業の全部を請負わせる、いわゆる全面委託の場合に農作業の効率化による農家生産力の向上という面では、積極的な評価をする余地があるとしても、農地は、耕作者自らが所有することを最も適当と認める農地法の目的からみると、農作業の全部の請負耕作が奨励されるべきであるかどうかについては疑間が残ります。請負耕作という名称の無許可の農地の賃貸借もみられるので、農地法上容認されうる請負耕作と、名称が請負とされていても、農地法上禁止される闇小作とを識別する必要があります。

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農作業の全部の請負契約は、農地の賃貸借契約と似た面がある一方で、前者は農地法上許可を要しないで存続することを許されるのに対し、後者は、これを必要とし、請負人の権利と農地法上手厚い保護をうける小作人の権利とでは、同じ農作業をするといっても、大きな違いがあります。請負耕作か賃貸借かを識別する点は、農業経営を主宰する者が誰かということにあります。土地の所有者等他人に耕作を委ねた者が農業経営を主宰していると認められる契約は、請負耕作であるとされ、耕作者自らが農業経営を主宰していると認められる契約は、請負耕作ではなく、賃貸借とされます。農業経営を主宰していると認められるかどうかは、次の要件を満たしているかどうかにかかっています。第一に作物、品種の選定、農作業実施の時期、方法の決定等農業経営の基本的事項について、請負耕作契約においては、委託者が決定するのに対して、賃貸借契約においては、耕作者である小作人が決定します。次に農業経営に伴う危険の負担は、請負耕作契約においては、委託者が負担し、耕作者は完成した仕事の量に応じた約定の報酬をうけるにすぎないのに対し、賃貸借契約においては、耕作者である小作人が負担します。そして収穫した農作物の所有権、処分権については、請負耕作契約においては、委託者が有するのに対し、賃貸借契約においては、耕作者である小作人が有することになります。請負耕作契約における請負人は、農作業を請負うのであるために、委託者の指示に従って、時期に応じた作業を行い、豊作、不作にかかわらず、約定に従った報酬をうけ、収穫した農作物についても、委託者の指示によるか、委託者から、報酬として支給されたものでないかぎり、売却するなどの処分をすることができません。農業経営の危険負担については、異常気候等のため、一部の農作業が不必要になった場合には、これに応じる報酬請求権を失うことが有り得ますが、これは報酬請求権に応じる農作業の義務をも免れるためであって、農業経営の危険を負うことではありません。
請負耕作契約は、農業協同組合による農作業の受託という方法のほか、農地法上は規定がないため、農地法の目的および農地法による農地に関する権利移転制眼の規定の趣旨等から、前記に述べたような、比較的厳しい要件を満たすもののみが、請負耕作としての効力を認められうるにすぎません。しかしながら、請負耕作と称されながら、その実は農地の賃貸借契約と認められ、農地法の許可をうけていないものが世に多く存在することも事実です。これらは、その請負耕作という名称にもかかわらず、法律的な性格は、賃貸借であって、いわゆる闇小作と同視すべきものです。このような請負耕作と称する闇小作が生じる背景は、農地法が自作農を奨励し、不在地主による小作を認めず、また、許可を得た賃貸借の小作人には、手厚い保護を与え、賃貸借関孫の解消を容易に認めないため、小作に出すことができないか、または小作に出した際は、小作人の保護が手厚いため、容易に農地を処分することができなくなることを恐れて、土地所有者が農地法の許可を得た小作関係に入ることを嫌うことにあります。農地法の許可を得た賃賃借契約の小作人は、土地所有者の交代、小作料、契約の解約等に関して、手厚い保護をうけますが、請負耕作と称する闇小作の小作人に対しては、農地法が定める保護は、一切与えられる余地がありません。

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