立木の担保化

民法の原則では、地上に生えている樹木は、土地の定着物であるために、不動産ですが、庭の植木であれ、山林であれ、そのままでは土地の一部をなすにすぎず、独立の物として認められません。したがって所有権の帰属も抵当権の効力も、土地と運命を共にすることになります。しかし一方で、古くから立木つまり樹木の集団は、生育したままの状態で、地盤と別個に取引の対象とする慣行があり、この慣行は民法施行後も変わりませんでした。そこで、明治四二年に立木に関する法律、略して立木法が制定され、一筆の土地の全部、または一部分に生立する樹木の集団で、所有権保存登記を受けたものを、本法における立木とし、かかる立木を一個の不動産とみなす途が開かれました。なお、実際の取引界で山林というときは、不動産登記上の地目でいう地盤としての山林ではなく、むしろ生立する樹木の集団を指称し、土地と別個に売買の対象とする例が多くなります。買主はこれを所定期限までに伐採して、薪炭、材木、製紙原科等に供するのです。しかもこれらにおいては、立木法の登記をすることは稀です。

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立木法によって立木と認められた樹木の集団は、土地と分離して独立に譲渡し、または抵当権を設定することができます。逆に、土地所有権または地上権を処分しても、その効力は立木に及びません。
立木法一条は、当初、立木の範囲を植栽に依り生立せしめたる樹木の集団と定め、天然林を除外していました。そのために、植林のための金融には利用できましたが、開発が進み奥地の天然林まで取引の対象が拡がるに及んで、実際界の需要に応じきれなくなりました。そこで昭和六年に植栽に依りという限定を廃し、天然林をも含める改正を行ないました。
立木は、登記所に備えられた立木登記簿に登記します。登記簿を表題部、甲区、乙区に分け、表題部に立木の表示、甲区に所有権に関する事項、乙区に先取特権、抵当権に関する事項を記裁するのは、乙区の限定を除き、不動産登記簿におけるのと同じです。表題部には、生立している場所の特定のほか、立木の樹種、数量、樹齢を記載します。植林ならともかく、天然林は多種多様の樹木が群生するのが普通であるために、これをことごとく記載することは不可能な場合もあり、また可能であっても非常に繁雑です。そこで天然林については、樹木ノ集団の範囲を定むるの件によって立木の範囲を限定し、別表によって指定した樹種のうち七種以下の樹木のみをもって組成すべきものとしました。八種以上の樹種から成る天然林は、その中から比較的重要な七種を選択して集団を組成することになります。所有権保存登記のできるのは、立木の生えている土地の所有者、地上権者およびこれらの者から権原の証明を受けた者、ならびにこれに準ずるような者です。
抵当権不動産とみなされることによって、立末は民法上抵当権の目的物たる資格を得ることになります、この抵当権は民法の定める抵当権にほかならないのです。ただし、次のとおり若干の特則があります。
立木に抵当権を設定したのちでも、立木所有者は、当事者の協定した施業方法によって、樹木を採取することができ伐採された樹木は抵当権の拘東から脱します。物件はその構成部分に軽徴な変動があっても同一性を失わないこと、および抵当権は所有者から目的物の使用収益権を奪わないことという原則からきたものといえます。適当な伐採は、集団としての立木を維持するうえから、むしろ有益な行為です。協定を結ばず、あるいは協定に違反して立木を伐採すると、これは抵当権の侵害となり不法行為責任を負うことになります。そして伐採した樹木は次のように処理されます。
立木の上の抵当権は、伐採木材の上にも及びます。もっとも、善意の第三者の手に渡って即時取得が働くと追及力が断たれます。
抵当権者は被担保債権の弁済期前にも伐木を競売に付することができます。抵当権者が伐木をなかなか競売に付さないときは、立木所有者から一か月以上の期間を定めて競売を催告することができ、抵当権者がこの期間を徒過したら、抵当権の効力がなくなります。木材の腐朽を防ぐ趣旨です。
地盤または立木のどちらか一方に抵当権を設定し、これがのちに競売された場合、および強制競売の結果、土地と立木の所有者が別人になった場合は、法定地上権または法定賃借権が発生します。
立木の所有者が樹木の運搬のために有していた土地または水の使用権は、立木の競売による買受人も相当の対価を払って行使することができます。

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